【保存版】テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の原因と対処|PRTEE-Jセルフチェックで“いまの辛さ”を見える化

【保存版】テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の原因と対処|PRTEE-Jセルフチェックで“いまの辛さ”を見える化

朝、歯みがきのときにコップが持ちにくい。

買い物袋を持ち上げた瞬間に肘の外側がズキッとする。

パソコンのマウスやフタ開けで地味に痛みが積み重なる。

そんな日常の「小さな困りごと」が続くと、気持ちも沈みますよね。この記事は、そんなあなたのために、痛みと生活の困りごとを0〜100点で“見える化”できるPRTEE-Jセルフチェックと、原因・セルフケア・受診の目安をわかりやすくまとめたものです。痛みがあるときに無理をする必要はありません。できることから行うために、まずは一緒に痛みの状態を整理していきましょう。

「テニス肘」はテニスをしていない人にも起こります。正式には上腕骨外側上顆炎といい、肘の外側にある前腕伸筋群の腱に負担がかかり続けることで、日常動作でも痛みが出やすくなる状態です。人口ベースの研究では1〜3%が経験するとされ、年齢・作業内容・握り方のクセなども関係します。まずは、いまの辛さを「見える化」して、無理なく続けられる対策へ繋げていきましょう。

PRTEE(Patient-Rated Tennis Elbow Evaluation)は、テニス肘に対しての世界的な評価ツールです。現在んぼ痛み5項目機能10項目(特定の6動作+日常4領域)を0〜10で答える方法となります。

具体的なセルフチェックはこちらから⬇️
PRTEE-Jセルフチェックフォーム(別タブで開く)

  1. 0〜10で回答:0=痛み/困難なし、10=最悪・できない。めったにしない動作は「もし行うなら」を想像して平均的な難しさで回答。できなかった動作は10で記入します(1)
  2. 自動計算:フォームは痛み・機能・合計を自動計算。
  3. 数週間おきに再チェック:「点の瞬間値」よりも推移が重要。変化の目安は後述します。

PRTEEは0〜100点(低いほど良い)。セルフケアと受診判断の目安として参考にしてください。

  • 0–20点(軽度):生活の工夫+等尺性運動中心。2週間後に再チェック。7点以上下がれば良い流れ(5)
  • 21–40点(軽〜中等度):握り方や持ち方を調整し、等尺性→軽い抵抗運動へ段階的に。2〜4週で7〜11点の改善が目安(5)
  • 41–60点(中等度):個別指導の併用推奨。活動時ブレース/家事・仕事動作の設計見直し。2〜4週で11点以上の低下を目指す。
  • 61–80点(高度):早めの受診を。超音波で腱の状態を確認し、負荷計画・物理療法を個別化。
  • 81–100点(重度):受診を強く推奨。外傷後や夜間痛・しびれを伴う場合は鑑別が必要。

※ 個人差があります。数値は診断名を決める規則ではなく、行動を決めるヒントと捉えてください。

  • 7点以上の低下=「少し良い」、11点以上の低下=「はっきり良い」の目安(5)。揺れは普通なので2〜4週の推移で判断を。
  • 変化が±5点以内なら、日による波や測定誤差の可能性。焦らず、工夫と運動を続けましょう。
  • 10(できない)が複数/70点以上が続く夜間痛・しびれ・脱力がある → 早めの相談を。

  • 持ち方を変える:袋や鍋は掌を上にして持つと負担が軽くなります。
  • フタ開け:肘を体に近づけ、手首を強く反らしすぎない。滑り止めマットを使う。
  • PC・スマホ:マウスは小刻みに持ち替える/スマホは片手の強い握りを避けて両手持ちに。
  • 家事・作業:重い物はこまめに分けて運ぶ。タオル絞りは強い捻りを避ける。
  • 休む勇気:「できない自分」を責めない。痛みが強い日は一歩戻すことが回復の近道です。

肘の外側には前腕伸筋群(手首を上に上げる筋肉)の腱がまとまって付きます。繰り返す握り・手首の反らし・捻りなどで微細な損傷と修復がせめぎ合ううち、腱に質的な変化(厚み・配列の乱れ・血流の変化)が起こり、些細な動作でも痛みが出やすくなります。喫煙・重労働・高要求の把持作業なども関連が指摘されています。

最新の治療方針では、運動療法・装具・徒手・物理療法などの非手術的アプローチが基本です。痛みが強い時期は負荷を一時的に下げることが第一優先となります。

  • 等尺性エクササイズ(痛み可容):肘90°、前腕を机にのせ、手の甲を上にして反対の手で軽く押さえ5秒×10回(1日2〜3セット)。
  • 段階的な抵抗運動:落ち着いてきたら、軽いダンベルやチューブで手関節伸展をゆっくりコントロール。回数→負荷→スピードの順にステップアップ。
  • テニスエルボーサポータ:活動時の痛み軽減に役立つ場合があります(締め過ぎ注意)。

  • 数週間のセルフケアでも改善しない/悪化する
  • しびれ・力の入りづらさがある(別疾患の可能性)
  • 転倒・打撲など外傷後の強い痛み・腫れ
  • PRTEE合計が高止まりする、10が多い

受診時は痛みの場所・困る動作・期間、そしてPRTEEの点数推移を見せていただけると、話がスムーズです(1)(2)(3)

必要に応じて超音波エコーで腱の状態をリアルタイムに観察します。テニス肘では、腱の肥厚などが見られることがあり、断裂の有無や重症度の見立てにも役立ちます。レントゲンのような放射線被曝がなく安全で検査を行うことができ、動かしながら評価できるのが利点です。

Q. 完全に痛みがなくなるまで運動はしない方がいいですか?
A. 目標は痛みゼロではなく、許容できる痛みの範囲で続けられる負荷です。増悪する負荷は一歩戻すのがコツ(3)

Q. 仕事や家事はどう調整すれば?
A. 握り方持ち方を工夫しましょう。例:掌を上にして持つ、こまめに休憩、重い物は両手で。PRTEEの「特定の動作」項目に合わせて困る動作から順に対策(1)(3)

Q. PRTEEの結果はどこで相談できますか?
A. 当院ではエコー検査はもちろん、さまざまな最新の治療機器を揃えて最善の治療方法や運動療法をご提案可能です。お気軽にどうぞ。フォーム結果(スクリーンショット可)をご提示ください。▶ PRTEE-Jフォームはこちら

  1. MacDermid JC. The Patient-Rated Tennis Elbow Evaluation (PRTEE) User Manual. St. Joseph’s Health Care London; 2010.(採点方法・欠測処理の原典)
  2. Bateman M, et al. Development of a core outcome set for lateral elbow tendinopathy (COS-LET). Br J Sports Med. 2022;56(12):657–666.
  3. Lucado AM, Day JM, et al. Lateral Elbow Pain and Muscle Function Impairments: Clinical Practice Guideline. J Orthop Sports Phys Ther. 2022;52(12):CPG1–CPG111.
  4. Physical Therapy for People with Lateral Elbow Tendinopathy. J Orthop Sports Phys Ther. 2023;53(1):5–6.(理学療法の実践ポイント)
  5. Poltawski L, Watson T. Measuring clinically important change with the PRTEE. Univ. of Hertfordshire repository; 2011.(小さな改善≈7点/明確な改善≈11点)
  6. Shiri R, Viikari-Juntura E. Prevalence and Determinants of Lateral and Medial Epicondylitis. Am J Epidemiol. 2006;164(11):1065–1074.(一般人口1〜3%)
  7. Park JW, et al. A meta-analysis of the risk factors for lateral epicondylitis. J Hand Ther. 2023;36(4):720–730.(女性・喫煙・重労働・脂質異常が関連)
  8. Coombes BK, Bisset L, Vicenzino B. Management of Lateral Elbow Tendinopathy: One Size Does Not Fit All. J Orthop Sports Phys Ther. 2015;45(11):938–949.
  9. Connell D, et al. Sonographic Examination of Lateral Epicondylitis. AJR Am J Roentgenol. 2001;176(3):777–782.(低エコー域などの所見)
  10. Datir A, Alyas F, Curtis M, et al. Utility of sonographic measurement of the common extensor tendon in lateral epicondylitis. AJR Am J Roentgenol. 2011;196(6):W790–W795.(腱肥厚の定量)

予約・相談(宜野湾スポーツ接骨院)

「PRTEE-Jセルフチェックの結果を相談したい」「どの運動から始めれば良い?」——小さな疑問も歓迎です。
痛みと付き合う毎日は、ひとりだと不安になりやすいもの。一緒に、いまの生活に合った解決策を探していきましょう。

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