当院にはスポーツでケガをされた方がいらっしゃいます
その中でも小学生〜中学生が多く使い間違いや使いすぎによる『スポーツ障害』という予防や予測が出来たケガの方が少なくありません
特に成長期に多い痛みに関して
”成長痛だから大丈夫”
と言われがちですが
誤った対処をすると長期間のスポーツが出来なくなったり、スポーツを諦めるという事態になりかねない
成長期で気をつけたい痛み
についてまとめました
特に子供の運動指導に関わる方や親御様に知って頂きたい内容となっています
【内容】
①成長痛?骨端線って何?
②年齢別骨端線に痛みが出やすい身体の場所
③指導者に知って欲しい骨端症チェック方法について
④子供が痛みを訴えた!そういう場合はどうしたら良いか?
①成長痛?骨端線って何?
”成長痛だから我慢していれば大丈夫!”
”成長痛は放置していても大丈夫!”
周囲からまたは医師から言われたことはないでしょうか?
そんな『成長痛』はほんとに放置していて大丈夫なのでしょうか?
ではこの『成長痛』について知ってこの痛みについて理解しましょう
当たり前のようですが人間の身体は赤ちゃん(胎児も)から大人になるまで成長をします
成長とは『発育』と『発達』の意味を含んでいる言葉ですが一般的な『成長痛』は『発育』に関係しており『発育』とは”形態的変化”のことで
簡単に言うと
身長や体重などの見た目にわかる変化のことです
特に『成長痛』が起きやすい時期は骨の成長が大きく関係しています
上の図にありますように
子供の骨は一部が成長軟骨板という軟骨で出来ており
そこから骨が大きくなり身長も高くなります
この部分は『骨端線』とも呼ばれます
得にこの骨端線の軟骨の部分は骨と比べると強度に劣り『成長痛』はこの成長軟骨板やその周囲の筋肉などに過負荷が加わり痛みが生じることをさします
成長期にこの骨端線や周囲の組織に痛みが出る事から
通称『成長痛』とされており
医学的には『骨端症』と呼ばれています
この『骨端症』を放置していると骨が変形してしまったり痛みが治まっても再度、同じ場所に痛みが出やすい傾向にあるので痛みだけでなく痛みの原因となっているものの改善が必要と言われています
特に、骨端線は成長に重要な場所なのでここに痛みがあるということは成長に影響に出る可能性があり、見過ごすことが出来ません
”成長痛だから我慢したら大丈夫”
”成長痛だから放置しておいて良い”とは言えないのではないでしょうか?
②年齢別骨端線に痛みが出やすい身体の場所
実はこの『成長痛』ですが統計的に痛みの出やすい場所と年齢が明らかになっており
それはPHA(Peak High velocity Age:身長が最も伸びる年齢こと)という一番身長が伸びる時期に応じて骨の成熟がある程度同様である事と言われいることから明らかです
ではこの標準的な身長が伸びる時期と、当院に来される患者さんの傾向をあわせて,年齢に応じた痛みが出やすい場所と病院で診断される病名をまとめてみます
- 9〜10歳:踵(かかと)の痛み 『病院でいわれる病名:シーバー病』
- 11歳〜12歳:膝(ひざ)の痛み 『病院でいわれる病名:オスグッド病』
- 10歳〜16歳:肘(ひじ)の痛み 『病院でいわれる病名:野球肘』
- 11歳〜15歳:上腕骨の上(腕の骨) 『病院でいわれる病名:リトルリーガー肩』
よくある痛みをまとめておりますが、特に野球肘やリトルリーガー肩は早期発見をして治療をしないと、痛みで投げれなくなり、靭帯損傷が伴っているなどで、手術が必要になるケースもあります
それ以外にも、全身の骨が成長期には大きく影響を受け、骨端症が痛みとして出やすい場所があります
上記の病名がつきやすい場所も含めて下の図にまとめてみました、この場所に痛みがある場合には気をつけてください
③指導者に知って欲しい骨端症チェック方法について
先ほど、年齢によって痛みが出やすい場所をお伝えしましたがこの骨端症の場所は簡単にチェックする方法があります
それは
触ってみること
です
多くの骨端症は身体の表面から押して確認しやすい場所にあるので
”最近動きがおかしいな?”
”骨端症の年齢だから気をつけなきゃな”
と思ったら一度触れてみて痛みを確認してみることをお勧めします
ポイントは
左右差を比べる事
です
もちろん左右同時に起きていることもありますが、痛み訴える場合は骨端症になっている事もありますので要注意です
(正確に触れることが難しい場合はお近くの医療機関で検査を受けて下さい)
④子供が痛みを訴えた!そういう場合はどうしたら良いか?
さて、この『成長痛』ですが放置をすると数年の間痛みがありその間スポーツ活動が出来なかったり痛みで十分なパフォーマンスが出来ないというお子さんが多くいらっしゃいます、中には通常の『成長痛』では無く重大は骨の病気が隠れているかかもしれません
まずは医療機関へ受診し検査を受けたうえで、運動負荷の調整や専門機関でのリハビリを受けて、万全の体制でスポーツ活動を行うことをオススメ致します
簡単ではありますが成長期に多い成長痛・『骨端症』についてお伝えました
まとめ
・成長痛は『骨端症』と言われ長期スポーツ離脱の可能性がある
・セルフチェック(圧痛)で確認が可能
・痛みがあれば迷わず医療機関へ相談をオススメします
次回は『成長痛』になってしまった場合の対処方法についてまとめて参ります”実際痛いんだけどうしたら良いの?”という疑問にお答えしていきます
参考文献:
1)Osgood–Schlatter disease: a 2020 update of a common knee condition in children/Ladenhauf,
2)身長成長速度曲線のパターンによる成長期の区分/大野ゆう子
3)Relationship between Sever disease and skeletal maturity/MM Duong,
4) Effectiveness of interventions for treating apophysitis in children and adolescents:
protocol for a systematic review and network meta-analysis/SL Midtiby