坐骨神経痛のストレッチ7選|自宅で簡単にできるやり方とタイプ別の注意点(ヘルニア・狭窄症・梨状筋)

坐骨神経痛ストレッチ方法

先に結論

坐骨神経痛のストレッチは「神経をぐいぐい伸ばす」より「神経をやさしくすべらせる」ほうが安全で続けやすい方法です。座ったまま膝の曲げ伸ばしと顔の上げ下げを組み合わせる運動は、神経を強く引っぱらずに大きく動かせることが確かめられています。原因がヘルニア・脊柱管狭窄症・梨状筋症候群のどれかで合うストレッチと避けたいストレッチが変わるので、この記事ではタイプ別に7つを紹介します。運動中に痛みやしびれが足先へ広がるときはすぐ中止してください。

Q. 坐骨神経痛におすすめのストレッチは?
A. 座ってできる神経のすべり運動・タオルを使った脚の裏のストレッチ・お尻の梨状筋ストレッチ・膝を抱えるストレッチなどです。自分のタイプに合うものを選び、痛みが強くならない範囲で1日2〜3回行います。

始める前に:ストレッチをしてはいけないとき

次のときはストレッチをせず受診を

  • 尿や便が出にくい・漏れる、股のまわりの感覚がにぶい(すぐに救急外来へ)
  • 足首が上がらない・つま先立ちができないなど脚の力が落ちてきた
  • しびれが日ごとに広がっている、両脚に出てきた
  • 転倒や事故のあとから痛みが出た、発熱がある

これらに当てはまらなければ、動ける範囲で体を動かすことは坐骨神経痛の基本の対処です。ベッドで安静にしていても動ける範囲で過ごしても経過にほとんど差はなく【1】、海外の診療ガイドラインも運動療法をすすめています【2】。

坐骨神経痛の3つのタイプ。前かがみや長く座ると悪化するヘルニアタイプ・歩くとしびれ前かがみで楽になる脊柱管狭窄症タイプ・長く座るとお尻の奥が痛む梨状筋タイプを示す図

まず自分のタイプを知る

坐骨神経痛は症状の呼び名で、原因によって合う動きが違います【3】。痛みが強くなる動きと楽になる動きから、おおまかなタイプをつかんでおきましょう。くわしい見分け方は「坐骨神経痛セルフチェック|自宅でできる7つのテスト」で解説しています。

ヘルニアタイプ
前かがみ・長く座る・せきやくしゃみで脚の痛みが強くなる。20〜40代に多い。
脊柱管狭窄症タイプ
立つ・歩く・腰を反らすと脚がしびれ、前かがみや座ると楽になる。50代以降に多い【4】。
梨状筋(お尻)タイプ
長く座る・運転・あぐらでお尻の奥が痛む。腰を動かしても症状はあまり変わらない【5】。

自宅で簡単にできるストレッチ7選

1. 楽な姿勢を見つける(すべてのタイプ)

ストレッチの前に「症状が軽くなる姿勢」を見つけておくと、痛みが強いときの逃げ場になります。痛い側を上にした横向きで膝を曲げ脚の間にクッションをはさむ姿勢、仰向けで膝の下に座布団を入れる姿勢、狭窄症タイプなら椅子に座って軽く前かがみになる姿勢を試してください。5分ほどその姿勢で深呼吸します。

坐骨神経痛の自宅でできるストレッチ7選とそれぞれに合うタイプ。座ってできる神経のすべり運動がいちばんのおすすめであることを示す図

2. 座ってできる神経のすべり運動(すべてのタイプ・いちばんのおすすめ)

  1. 椅子に浅く腰かけ、背中を軽く丸めます。
  2. 痛い側の膝をゆっくり伸ばしながら、同時に顔を上げて天井を見ます。
  3. 膝を曲げて戻しながら、同時に顔を下げておへそを見ます。
  4. これをリズムよく10回くり返します。
坐骨神経のすべり運動:下を向いて膝を曲げる→上を向いて膝を伸ばし足首を反らす
①下を向いて膝を曲げ、②上を向きながら膝を伸ばして足首を反らします(提供:リハサク)

膝を伸ばすと神経は足側に引っぱられ、顔を上げると頭側がゆるみます。この2つを同時に行うと、神経を強く引っぱらずに通り道の中で大きくすべらせることができます。超音波で坐骨神経の動きを測った研究では、この方法がほかの方法よりも神経を大きく動かし、引っぱる力は小さく済むことがわかっています【6】【7】。神経をすべらせる運動は、腰の神経の根元が刺激されて起こる脚の痛みを軽くする効果が複数の研究で報告されています【8】【9】。

3. 寝てできる神経のすべり運動(すべてのタイプ)

  1. 仰向けに寝て、痛い側の太ももを両手で抱えて股関節を90度くらいに曲げます。
  2. 膝をゆっくり伸ばしながら、つま先を伸ばして足首を下に向けます。
  3. 膝を曲げながら足首を手前に反らせます。
  4. 膝が伸びきる手前の、症状が出ない範囲で10回くり返します。

座るのがつらい方や朝の布団の中で行いたい方に向いています。

4. タオルを使った脚の裏のストレッチ(症状が落ち着いてから)

タオルを使った坐骨神経痛のストレッチ:仰向けで足裏にタオルをかけ膝を伸ばしたまま脚を上げる
足裏にタオルをかけ、膝を伸ばしたまま脚を持ち上げます
  1. 仰向けに寝て、痛い側の足裏にタオルをかけます。
  2. 膝を伸ばしたままタオルを引いて、脚をゆっくり持ち上げます。
  3. 太ももの裏が気持ちよく伸びるところで20〜30秒保ちます。
  4. 3回くり返します。

このストレッチは神経を引っぱる力が強いので、痛みやしびれが強い時期は控え、すべり運動で症状が落ち着いてから取り入れます。脚にしびれが走る手前で止めるのがコツです。

5. お尻の梨状筋ストレッチ(梨状筋タイプ)

  1. 仰向けに寝て両膝を立てます。
  2. 痛い側の足首を反対の膝の上にのせ、数字の4の形をつくります。
  3. 下の脚の太ももを両手で抱えて胸のほうへ引き寄せます。
  4. お尻の奥が伸びるところで20〜30秒保ち、3回くり返します。
梨状筋ストレッチ:仰向けで膝を曲げ反対側の足を乗せる
痛い側の足首を反対の膝の上に乗せます(提供:リハサク)
梨状筋ストレッチ:片方の膝を抱えて体に引き寄せる
下の脚の太ももを抱えて胸のほうへ引き寄せます(提供:リハサク)

椅子に座って片足をもう一方の膝にのせ、背すじを伸ばしたまま上半身を前に倒しても同じように伸ばせます。お尻のタイプの坐骨神経痛は、梨状筋に限らずお尻の深い筋肉のまわりで神経がしめつけられて起こると考えられています【5】。伸ばしたときに脚へしびれが強く走るなら、引き寄せる量を減らしてください。

6. 膝を抱えるストレッチ(脊柱管狭窄症タイプ)

  1. 仰向けに寝て、両膝を両手で抱えます。
  2. 膝を胸にゆっくり引き寄せ、腰の後ろが伸びるところで20〜30秒保ちます。
  3. 3回くり返します。
膝抱えストレッチ:仰向けで両膝を抱えて胸に引き寄せる
両膝を抱えて胸に引き寄せ、腰の後ろを伸ばします(提供:リハサク)

腰を丸めると神経の通り道が広がるので、狭窄症タイプでは楽になる方が多い動きです。前かがみで脚の痛みが強くなるヘルニアタイプの方は、痛みが落ち着くまで控えてください。

7. うつ伏せで上体を起こす運動(ヘルニアタイプで合う人だけ)

  1. うつ伏せになり、両肘を肩の下について上体をゆっくり起こします。
  2. お腹の力を抜いて20〜30秒保ち、ゆっくり戻します。
  3. 5回くり返します。
うつ伏せで両肘をついて上体を起こす運動(マッケンジー体操)
うつ伏せで両肘をつき、お腹の力を抜いて上体を起こします(提供:リハサク)

行ったあとに脚の痛みが腰のほうへ集まってくる・脚の範囲が狭くなるなら合っているサインです。反対に脚の先へ痛みが広がるときは合っていないので中止します。腰を反らすと悪化する狭窄症タイプには向きません。

タイプ別のおすすめと避けたいもの

タイプおすすめ控えたいもの
ヘルニア1・2・3、合う人は7痛みが強い時期の4と6(前かがみで悪化するため)
脊柱管狭窄症1・2・3・67(腰を反らすと悪化するため)
梨状筋(お尻)1・2・3・5、落ち着いたら4しびれが走るほど強く伸ばすこと
わからない1・2・3から始める痛みを我慢して伸ばすこと

回数・痛みの目安・続ける期間

  • 回数:1日2〜3回。すべり運動は10回、保つストレッチは20〜30秒を3回が目安です。
  • 痛みの目安:運動中に軽い違和感が出ても、終わって数分で元に戻るなら続けてかまいません。終わったあとも痛みやしびれが強いまま、または足先へ広がるなら回数を減らすか中止します。
  • 期間:2〜4週間続けて、痛む範囲や座っていられる時間が変わるかを見てください。変化がない、または悪くなるときは原因が別にあるかもしれません。
  • ストレッチ以外:痛みが強くならない範囲で歩く、30分に1回は立つことも同じくらい大切です。
坐骨神経痛のストレッチの回数と痛みの目安と続ける期間。1日2〜3回・終わって数分で戻るなら続けてよい・2〜4週間で変化を見る・足先へ広がるなら中止を示す図

腰からの坐骨神経痛は多くの人で時間とともに軽くなり、一般の医療機関に通う人を1年追った研究では半数以上が改善していました【10】。手術と運動を中心にした方法を比べた研究のまとめでも、手術の優れた点は短い期間に限られ、長い目で見ると差ははっきりしませんでした【11】。あせらずに続けることが大切です。

妊娠中の坐骨神経痛とストレッチ

妊娠中は3人に2人以上が腰の痛みを、約5人に1人が骨盤まわりの痛みを経験するとされます【12】。お尻から脚へ響く痛みも、実際には骨盤の関節まわりから来ていることが少なくありません。運動を続けると妊娠中の腰の痛みが軽くなる可能性も報告されています【12】。

  • まず産科の主治医に運動してよいか確認してください。
  • おすすめは横向きでの楽な姿勢(1)、座ってのすべり運動(2)、四つ這いで背中をゆっくり丸めたり戻したりする運動です。
  • お腹が大きくなってからは、仰向けで長く行う運動(3・4・5・6)や、うつ伏せの運動(7)は避けます。
  • お腹の張りや出血があるときはすぐに中止して産科に連絡してください。

宜野湾スポーツ接骨院でできること

当院ではエコー(超音波画像観察装置)でお尻の深いところを通る坐骨神経を映し、神経のまわりの筋肉の硬さや神経の滑り具合を確かめます。そのうえで、その人のタイプに合うストレッチと回数を一緒に決め、自宅で続けられる形にしてお渡しします。原因や施術の内容は「坐骨神経痛の原因・症状・施術」をご覧ください。

お尻から脚のしびれで困ったら、まず宜野湾スポーツ接骨院へ
☎ 098-975-9074/平日21時まで・土日祝も受付
はっきりしたしびれや尿の出方の異常があるときは、まずお電話ください。その場で受診先をご案内します。

よくある質問

Q. 坐骨神経痛のストレッチは毎日やっていいですか?
A. 痛みが強くならない範囲なら毎日行ってかまいません。1日2〜3回、少ない回数をこまめに行うほうが一度にたくさん行うより続けやすく、神経も刺激しすぎずに済みます。

Q. 痛いのを我慢してストレッチしたほうが早くよくなりますか?
A. いいえ。痛みやしびれを我慢して強く伸ばすと神経をさらに刺激します。終わって数分で元に戻る程度の軽い違和感までにとどめてください。

Q. 寝ながらできるストレッチはありますか?
A. 寝てできる神経のすべり運動・タオルを使った脚の裏のストレッチ・梨状筋ストレッチ・膝を抱えるストレッチは布団の上でできます。タイプに合うものを選んでください。

Q. 温めたほうがいいですか、冷やしたほうがいいですか?
A. 長く続く坐骨神経痛は、入浴などで温めると筋肉がゆるんで楽になる方が多いです。ぎっくり腰のように急に強い痛みが出た直後で熱っぽさがあるときは、無理に温めないでください。

Q. 妊娠中でもストレッチしていいですか?
A. 産科の主治医に確認したうえで、横向きの楽な姿勢や座ってのすべり運動など負担の少ないものから始めます。お腹が大きくなってからの仰向けやうつ伏せの運動は避けてください。

Q. どれくらいで効果が出ますか?
A. 2〜4週間続けて、痛む範囲や座っていられる時間が変わるかを目安にしてください。変化がないときや悪くなるときは原因を確かめることをおすすめします。

この記事を書いた人

今西 博昭(いまにし ひろあき) 宜野湾スポーツ接骨院 院長。柔道整復師・日本柔道整復接骨医学会 認定柔道整復師。運動器エコー観察歴19年。日本超音波骨軟組織学会 評議員。柔道整復師向けの運動器エコー教育・研究コミュニティ JET を主宰。名桜大学 非常勤講師。スタッフ紹介

参考文献

  1. Hagen KB, et al. Bed rest for acute low-back pain and sciatica. Cochrane Database Syst Rev. 2004;(4):CD001254.
  2. Bernstein IA, et al. Low back pain and sciatica: summary of NICE guidance. BMJ. 2017;356:i6748.
  3. Jensen RK, et al. Diagnosis and treatment of sciatica. BMJ. 2019;367:l6273.
  4. Katz JN, et al. Diagnosis and Management of Lumbar Spinal Stenosis: A Review. JAMA. 2022;327(17):1688-1699.
  5. Kizaki K, et al. Deep gluteal syndrome is defined as a non-discogenic sciatic nerve disorder with entrapment in the deep gluteal space: a systematic review. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2020;28(10):3354-3364.
  6. Coppieters MW, et al. Excursion of the Sciatic Nerve During Nerve Mobilization Exercises: An In Vivo Cross-sectional Study Using Dynamic Ultrasound Imaging. J Orthop Sports Phys Ther. 2015;45(10):731-7.
  7. Ellis RF, et al. Comparison of longitudinal sciatic nerve movement with different mobilization exercises: an in vivo study utilizing ultrasound imaging. J Orthop Sports Phys Ther. 2012;42(8):667-75.
  8. Basson A, et al. The Effectiveness of Neural Mobilization for Neuromusculoskeletal Conditions: A Systematic Review and Meta-analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2017;47(9):593-615.
  9. Lin LH, et al. Neural Mobilization for Reducing Pain and Disability in Patients with Lumbar Radiculopathy: A Systematic Review and Meta-Analysis. Life (Basel). 2023;13(12):2255.
  10. Konstantinou K, et al. Prognosis of sciatica and back-related leg pain in primary care: the ATLAS cohort. Spine J. 2018;18(6):1030-1040.
  11. Fernandez M, et al. Surgery or physical activity in the management of sciatica: a systematic review and meta-analysis. Eur Spine J. 2016;25(11):3495-3512.
  12. Liddle SD, et al. Interventions for preventing and treating low-back and pelvic pain during pregnancy. Cochrane Database Syst Rev. 2015;(9):CD001139.

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