先に結論
FHP(頭部前方偏位:とうぶぜんぽうへんい)は、横から見て耳が肩より前に出た姿勢です。スマホやデスクワークで前かがみが続くと起こりやすく、大人では首の痛みとの関係が報告されています。研究のまとめでは、首と胸・背中のエクササイズを続けると頭の位置が改善しやすいことが示されています。あごを軽く引く運動・胸椎を反らす運動・胸のストレッチを毎日少しずつ続けましょう。
Q. FHPかどうか自分で確かめる方法は?
A. 壁にかかととお尻・背中をつけて立ち、後頭部が自然に壁につくかを確かめます。後頭部が壁から離れる、つけようとするとあごが上がる場合はFHPの傾向があります。
FHP(頭部前方偏位)とは

理想の頭の位置は、横から見て耳・肩・腰の骨の出っぱりがほぼ一直線にそろう姿勢です。FHPは頭が肩より前に出た状態で、英語の forward head posture の頭文字をとった呼び名です。頭の重さは体重の約1割(大人で5〜6kgほど)あり、前に出るほど首の後ろの筋肉が引っぱられて支えることになります。
研究のまとめでは、大人ではFHPの人ほど首の痛みが多い傾向があった一方で、高齢者でははっきりした関係が見られませんでした【1】。姿勢が悪いと痛くなるとは限りませんが、首や肩のこり・背中の丸まり・肩の動きにくさが気になる方は、頭の位置を見直すきっかけにしてください。FHPは背中の丸まり(猫背)とセットで起こることが多い姿勢です。
自分でできるチェック
- 壁にかかと・お尻・背中をつけてまっすぐ立ちます。
- あごを上げずに、後頭部が自然に壁につくかを確かめます。
- 家族に横から写真を撮ってもらい、耳が肩より前にあるかを見ます。
後頭部が壁から離れる、つけようとするとあごが上がる、耳が肩よりはっきり前にある場合はFHPの傾向があります。
FHPを整えるエクササイズ3つ
FHPの人を対象にした研究のまとめでは、首や肩・背中のエクササイズを続けると頭の前への出方が小さくなる効果が大きいと報告されています【2】。次の3つを1日1〜2回続けましょう。
1. あごを引く運動(チンタック)
- 椅子に座り、背すじを伸ばします。
- 目線は正面のまま、あごを水平にまっすぐ後ろへ引きます(二重あごをつくるイメージ)。
- 首の後ろが伸びるところで5秒保ち、ゆっくり戻します。10回くり返します。
下を向くのではなく、頭全体を後ろへスライドさせるのがポイントです。首の深いところにある、頭を支える筋肉を使う練習になります。
2. 座ったままの胸椎伸展

背中(胸椎)が丸まったままだと、頭は前に出ざるをえません。椅子に浅く座って胸に手を当て、骨盤を前に倒しながら胸を斜め上に向けます。10回くり返します。くわしいやり方は「胸椎伸展ストレッチのやり方」で紹介しています。
3. 胸のストレッチ

胸の筋肉が硬いと肩が前に引っぱられ、頭も一緒に前に出ます。壁の横に立って腕を壁につけ、体重を前の足に乗せて30秒保ちます。左右2回ずつ行います。
毎日の姿勢の工夫
- スマホは目の高さに近づける:下を向く角度が大きいほど首の負担は増えます。
- パソコンの画面の高さを上げる:画面の上の端が目の高さになるよう調整します。
- 30分に1回は姿勢を変える:同じ姿勢を続けないことが大切です。チンタックを数回行うだけでもかまいません。
- 体幹の筋力をつける:柔らかくなった姿勢を保つには筋力も必要です(「猫背とプランク」)。
首の痛みに加えて腕や手のしびれ・力の入りにくさ・だんだん強くなる頭痛があるときは、姿勢以外の原因が隠れていることがあります。運動は中止して相談してください。
よくある質問
Q. FHPはストレートネックと同じですか?
A. 似ていますが同じではありません。ストレートネックは首の骨の並びがまっすぐに近い状態を指し、FHPは頭の位置が肩より前に出た姿勢を指します。両方が一緒に見られることも多くあります。
Q. 子どもでもFHPになりますか?
A. スマホやゲーム、勉強で前かがみの時間が長いと子どもでも見られます。早いうちから画面の高さや休憩を意識しましょう。
Q. どれくらいで姿勢は変わりますか?
A. 個人差がありますが、研究のまとめではエクササイズを続けた人で頭の位置が改善していました。数週間続けて写真で比べてみてください。
Q. 枕は関係ありますか?
A. 高すぎる枕は寝ている間も首が前に曲がった姿勢になります。仰向けで額とあごがほぼ水平になる高さが目安です。
Q. 首が痛いときもエクササイズしていいですか?
A. 痛みが強くならない範囲なら行ってかまいません。腕や手のしびれ、力の入りにくさがある場合は中止して相談してください。
参考文献
- Mahmoud NF, et al. The Relationship Between Forward Head Posture and Neck Pain: a Systematic Review and Meta-Analysis. Curr Rev Musculoskelet Med. 2019;12(4):562-577.
- Sheikhhoseini R, et al. Effectiveness of Therapeutic Exercise on Forward Head Posture: A Systematic Review and Meta-analysis. J Manipulative Physiol Ther. 2018;41(6):530-539.
エクササイズ画像:提供 株式会社リハサク(姿勢比較の写真を除く)













