産後の尿漏れは治せる!〈まとめ編〉

産後の尿漏れにお困りの方も多いのではないでしょうか?

重い荷物を持った時や、走った時、くしゃみをした時などに意図せず尿が漏れてしまうことは日常生活にも支障が出てしまうと思います。

当院のブログでは、たびたび産後の尿漏れについご紹介させていただきましたが、今回は上記のような産後の尿漏れの症状についてや、なりやすい方の特徴、改善法などをまとめてご紹介させていだだこうと思います。

現在、妊娠中の方で尿漏れの症状がある方や、産後のエクササイズの仕方について知りたい方産後の尿漏れの症状にお悩みの方はぜひ一度ご閲覧ください。

『内容』

・産後の尿漏れの種類

・尿漏れを起こしやすい習慣

・産後も尿漏れを起こしやすい方の特徴

・尿漏れ改善に必要な骨盤底筋について

・尿漏れの根本的な改善をするためには

・おすすめの尿漏れ改善エクササイズ

・当院でできること

♦︎産後に多い尿漏れの種類について

①腹圧性尿失禁

症状:咳やクシャミ、ジャンプなど腹圧が上昇したときに尿が漏れる

原因:妊娠、出産、加齢などにより骨盤底筋群の筋力低下

産後の女性では、腹圧性尿失禁になる方が多く分娩時に骨盤底筋が傷つくことやお腹が大きくなることで骨盤底筋が圧迫され続け緩むことで骨盤底筋の機能が低下し尿漏れを起こしやすくなってしまいます。

♦︎尿漏れ起こしやすくする習慣・起こしにくくする習慣は?

Hannestadらの、産後に限らず20歳以上の女性を対象とした大規模調査では、尿漏れになりやすくなる方では以下の特徴が報告されています。

【尿漏れのリスクを上げる習慣】

・1 日 20 本以上 の喫煙歴

・body mass index(BMI)高値,

・紅茶の摂取

【尿漏れのリスクを下げる習慣】

・低強度の身体活動を行っている時間が長い

また、産後1年以内に尿漏れがある方と産後も尿漏れがない方での違いとしては、

産後尿漏れがない方に比べ、産後尿漏れがある方では妊娠中から尿漏れの症状があり産後も尿漏れの症状が続いているという報告があります。

そして、産後の尿漏れの症状があるなしに限らず産後の女性では身体活動が低下しているという調査結果が出ています。

◆尿漏れ改善に必要な骨盤底筋ってなに?

産後ケアについて調べていくと、たびたび名前が上がる骨盤底筋ですが骨盤底筋が何をする筋肉かわからない方も多いと思います。

骨盤底筋群とは、浅層・中間層・深層の3つの層に分かれている主に骨盤底の中央に存在する複数の筋肉をまとめたものです。


骨盤底筋群の中には、排尿をコントロールするために必要な内・外肛門括約筋なども含まれます。

そのため、骨盤底筋群の筋力低下・機能低下などが起こると尿漏れの症状を引き起こす原因の一つになります。

引用:産後リハにおける腹部・骨盤へのアプローチ

♦︎骨盤底筋群の役割は?

骨盤底筋群の主な役割としては大きく分けて3つに分かれます。

①内臓が下がらないように支える

②排尿のコントロール

③姿勢の制御

上記の骨盤底筋群の役割によって骨盤底筋群は尿漏れだけでなく、子宮脱などの骨盤臓器脱を防ぐためにも重要になります。

♦︎なんで産後も尿漏れが続くの?

出産が終わり、育児も始まる中でなかなか身体の調子が戻らずお困りの方も多いと思いますが、産後に身体が出産前の元の状態に戻るまではおよそ6〜8週間(産褥期かかると言われておりすぐに元の状態に戻るわけではありません。

産褥期が過ぎても尿漏れの症状が続く理由の一つとしては、先ほどご紹介した骨盤底筋群の機能障害があります。

妊娠中では胎児の重さにより子宮が下垂すると骨盤底筋群が持続的に伸ばされ緩んだ状態になり尿漏れが起こりやすくなりますが、分娩時に胎児が産道を通る際、骨盤底筋群や靭帯が損傷すると筋肉の収縮が働きづらくなることによって尿漏れなどの症状が出てきます。

また、分娩時に陰部周囲に存在する神経を損傷・絞扼することで2次的に骨盤底筋群の機能障害が起こり、膀胱・子宮・大腸などへの神経伝達がうまく行えず失禁や内臓の下垂が起こりやすくなります。

♦︎骨盤底筋群は自然に治らないの?

分娩による骨盤底筋群の損傷では、通常1〜3ヶ月程度で回復するとされていますが、分娩を重ねることで症状が残りやすくなったり悪化するケースもあります。

そのため、尿もれの症状を長引かせず早期改善を行うためには骨盤底筋群の再教育(エクササイズ)が必須になります。

♦︎尿漏れを根本的に直したい!

尿漏れを根本的に改善するためには、骨盤底筋群だけ出なく姿勢も重要になります。

妊娠前から妊娠中では、胎児の成長とともに姿勢の変化が起こやすくなりますが、産後も妊娠中の姿勢が続くことで尿漏れを起こしやすくしてしまっていることがあります。

妊娠前から妊娠後の主な姿勢の変化

①頭が肩より前に出る(頭部前方位)
②背中が丸くなる(胸椎後弯増加)
③反り腰になる(腰椎前弯増加)
④骨盤が前に倒れる(骨盤前傾増加)
⑤足幅を広く取る(支持基底面増加

妊娠中のこれらの姿勢の変化は、お腹の筋力低下や骨盤底筋群の筋力低下もひき起こす原因になります。

引用:理学療法士のためのウィメンズ運動療法

特に、骨盤の位置は尿漏れを改善するにあたってとても重要なポイントになりますが、

下の図のaでは身体の負担がかかりにくい前にも後ろにも倒れていない骨盤中間位となりますが下の図のbでは骨盤が後に倒れている骨盤後傾位になります。

骨盤が後に倒れている図bの状態では、子宮や骨盤内臓器を骨で支えることができずに臓器の重さが垂直にかかることで排尿に関係する骨盤底筋や筋膜への負担が増え、尿漏れが起こりやすくなってしまいます。

そのため、尿漏れを起こしづらい身体を作るためには、骨でしっかりと骨盤内臓器の重さを支え骨盤底筋群に負担のかかりにくい姿勢となる図aの骨盤中間位をとる必要があります。

けれども、妊娠中から続く姿勢の変化は自然と治るものではなく身体へ負担の少ない正しい姿勢になるためには、エクササイズやストレッチなどを行うことが必須となります。

引用:理学療法士のためのウィメンズ運動療法

♦︎尿漏れ改善のためにどんな運動(エクササイズ)をしたらいいの?

育児が始まると今までとは異なる生活環境により、ご自身のことは後回しとなり産後のケアをなかなかできない方も多いと思います。

そこで今回は、ご自宅でできる安全な尿漏れ改善エクササイズをご紹介したいと思います。

【寝ながらできる骨盤底筋エクササイズ】

目的:骨盤底筋群の筋力向上

①仰向けになり両膝を曲げお腹に手を当てる
②おならや排尿を我慢するようにイメージしながら肛門周囲を収縮させる
③10秒キープ後緩め繰り返す

このエクササイズによって、骨盤底筋の収縮を促すことができます。

また、産後すぐに運動することが怖い方や運動をしたことがない方でも簡単にできるエクササイズになります!
尿もれの症状がある方はぜひチャレンジしてみてください。

※痛みが出る方は無理せず中止しましょう

引用:理学療法士のためのウィメンズ運動療法

【ドローインのやり方】

目的:お腹(インナーマッスル)・骨盤底筋群の筋力向上

①両膝を立て両手をお腹にあて仰向けになる
②息を吸ってから最大限息を吐いてお腹を凹ませる
③10秒〜30秒キープし力を抜いて②を繰り返す

ドローインでは、お腹を凹ませることで尿漏れ改善に必要な腹横筋や内腹斜筋というお腹のインナーマッスルを鍛えることができます。

腹横筋や内腹斜筋が収縮すると、骨盤底筋群も一緒に収縮するという関係がありお腹も骨盤底筋群も一緒に鍛えることができる一石二鳥のエクササイズになります。

また、腹横筋や骨盤底筋の筋力向上を行うことで排尿のコントロールを行うことができるようになり尿漏れを改善する効果が期待できるエクササイズになります。

画像:宜野湾スポーツ接骨院

ヒップリフトやり方

目的:お腹(インナーマッスル)・骨盤底筋群・お尻の筋力向上

①仰向けで両膝を曲げ両掌を床につける
②手で床を押しながら胸〜お腹〜膝までが一直線になるようにお尻を持ち上げる

※お腹・お尻・腿裏を意識しよう!痛みがある方は無理せず休止しましょう。

ヒップリフトでは、お腹や骨盤底筋群だけでなくお尻や腿裏も使用することで産後不安定となっている骨盤の安定性を作ることもできるエクササイズになります。

また、ヒップリフトとお腹を凹ますドローインを併用することでより、お腹と骨盤低筋群に収縮を入れることができるためエクササイズに慣れてきたらぜひ併用してチャレンジしてみてください。

画像:宜野湾スポーツ接骨院

♦︎最後に・・・

産後は、赤ちゃんの育児が始まることでお母さんのお身体に不調が出ていてもなかなか治療やケアに行けない方も多いと思います。

そこで当院のブログでは、ご自宅でできるエクササイズや産後に起こりやすい症状についてなどをご紹介させていただいておりますが、なかなかご自身の力だけではエクササイズやストレッチを行うことが難しいところもたくさんあると思います。

そのため、当院では尿漏れなどの不調を改善するためのエクササイズやストレッチと一緒に身体のケアまでを行うパーソナルトレーニングをご用意しております。

約1時間エクササイズやストレッチを行いながら産後に多いむくみや腰痛などのケアも行います。

なかなかお時間の取れない方や、身体のケアやエクササイズも同時に行いたい方におすすめの内容となっていますので現在尿漏れなどの症状でお困りの方や産後のケアを行いたい方はぜひ一度ご相談ください。

最後までご閲覧いただきありがとうございました^^

参考文献:

・産後の女性における腹圧性尿失禁と身体活動量との関連
・理学療法士のためのウィメンズヘルス運動療法
・産後リハにおける腰部・骨盤へのアプローチ

■産後のパーソナルトレーニングについてより詳しく知りたいかたはこちらからどうぞ!

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