執筆・監修:今西 博昭(宜野湾スポーツ接骨院 院長/柔道整復師/日本超音波骨軟組織学会 評議員) プロフィールを見る ▼
「かかとが痛くて走るのを休んでいる。いつから走っていい?」
NAHAマラソンに向けて距離を伸ばしている市民ランナーの方や、駅伝シーズンで走る量が増えた中高生からよくいただくご相談です。足底腱膜炎(そくていけんまくえん)は骨折とちがい、痛みが完全に消えるのを待ってから走るよりも、痛みの出方を目安に走る量を調整しながら戻していくことが多いケガです。
この記事では、当院で使っている走り始めてよいかの判断基準と、走る量を戻していく順番、そして12月6日のNAHAマラソンまでの考え方をまとめました。朝の一歩目が痛む仕組みや自宅でのストレッチ・靴選びは朝の一歩目がかかとに響く足底腱膜炎でくわしく解説しているので、あわせてお読みください。
先に答え:足底腱膜炎はいつから走れる?
- いつから:痛みがゼロになるのを待つ必要はありません。朝の一歩目の痛みが軽く、30分歩いても悪化せず、片脚のかかと上げや軽いジャンプができれば、ゆっくりのジョグから再開できることが多いです
- 何日で:個人差がとても大きいケガです。174人を長く追いかけた研究では、痛みが消えた人でも、それまでに平均で約2年かかっていました【1】。だからこそ「休んで待つ」より「量を調整しながら戻す」考え方が大切です
- どこまで:走っている間と走った後の痛みが10段階で2〜3まで、翌朝の一歩目が前日より悪くなっていなければ、その量を続けてかまいません
- かかとの骨を両側から挟んで痛む場合は、かかとの骨の疲労骨折が隠れていることがあります。この場合は走るのを止めてご相談ください
目 次
那覇マラソン(12月6日)に向けて
走ると痛む方は早めにご相談ください。痛みが出てから早い時期ほど練習の続け方を選びやすくなります。エコーで痛む場所を確かめてから大会までに走れる距離とペースの目安をお伝えします。
平日21時まで・土日祝も受付
走ってよい痛みと休むべき痛みの見分け方
足底腱膜は、かかとの骨から足の指の付け根に向かって扇のように広がる丈夫な膜です。走るときは一歩ごとに引き伸ばされ、着地の衝撃を受け止めています。足底腱膜炎は、このかかとの付け根にくり返し負担がかかり、修復が追いつかずに傷んだ状態です。スポーツ医学の施設を受診したランナー2,002件のケガを調べた研究では、足底腱膜炎は膝のお皿まわりの痛み、膝の外側の痛みに次いで3番目に多いケガでした【2】。
足底腱膜炎は「使いながら戻す」ことが多いケガ
骨折のように「骨がつくまで負担をかけない」必要があるケガとちがい、腱や腱膜のケガは、適度な負担をかけることで少しずつ強くなっていきます。アキレス腱の痛みの研究ですが、痛みの強さを目安にしながらランニングやジャンプを続けたグループと、6週間それらを止めたグループを比べたところ、1年後の回復に差はなく、続けたことによる悪い影響は見られませんでした【3】。足底腱膜炎でも、当院ではこの考え方を参考に「痛みのルールを守れる量」で走ることを基本にしています。
走りながら様子を見てよい痛み・止めるべき痛み
| チェック | 量を減らして続けられることが多い | 走るのを止めて相談 |
|---|---|---|
| 朝の一歩目 | 痛むが数歩〜数分で軽くなる | 歩いても痛みが引かない 日ごとに強くなる |
| 走っている間 | 走り始めだけ痛み 温まると軽くなる | 走るほど痛みが強くなり かばって走る |
| 押して痛む場所 | かかとの底の内側寄り | かかとの骨を両側から挟むと痛い 腫れている |
| 走った翌日 | 翌朝の一歩目は前日と同じくらい | 翌朝の一歩目が明らかに悪化する |
目安です。いくつかの痛みが重なっていることもあります。
右の列に当てはまるものがある場合は、足底腱膜炎以外のケガ(かかとの骨の疲労骨折、腱膜の部分断裂、神経の痛みなど)が隠れていることがあります。自己判断で走り続けず、一度確かめましょう。かかとの痛み全般については足底腱膜炎のページ、かかとの後ろ側が痛む場合はアキレス腱付着部症のページもご覧ください。
ランナーが足底腱膜炎になりやすい背景
足底腱膜炎の危険因子を調べた研究では、膝を伸ばした状態で足首を反らす角度が0度以下の人は、10度より大きく反らせる人に比べて足底腱膜炎の起こりやすさが約23倍、BMIが30をこえる人は約5.6倍でした【4】。ふくらはぎが硬く足首が反らない状態で走ると、そのぶん足裏に負担が集まりやすいと考えられます。また、市民ランナー5,205人を追った研究では、1回に走る距離が過去30日の最長距離を大きく上回るとケガが増えていました【5】。大会前に急にロング走を入れた後でかかとが痛み出す方が多いのは、こうした背景とも一致します。
走り始めてよいかの判断基準6つ
当院では、次の6つがそろったら「ゆっくりのジョグから走り始めてよい」と判断しています。どれも自宅で確かめられるものが中心です。
- 朝の一歩目の痛みが軽い:10段階で3以下で、数歩〜数分歩くうちに軽くなる
- 30分歩いても悪化しない:平らな道を普通の速さで30分歩いて、歩いた後や翌朝に痛みが増えていない
- 片脚のかかと上げができる:痛い側の脚だけで、かかとの上げ下げをゆっくり15回行い、痛みが3以下
- 軽いジャンプができる:その場で両脚ジャンプを20回、痛い側の片脚ジャンプを10回して、強い痛みが出ない
- かかとの骨を挟んでも痛くない:かかとを内側と外側から指で挟むように押しても痛まない(痛む場合はかかとの骨の疲労骨折を確かめます)
- エコーで腫れが落ち着いてきている:腱膜の付け根の腫れや周りの液体が、来院時より落ち着いている
1つでも当てはまらない場合は、もう少し待つか、自転車やプールなど足裏に負担の少ない運動で体力を保ちます。「痛みが少し引いたから」と元の量でいきなり走ると、ぶり返して休む期間がかえって長くなります。
エコーの厚みが元に戻るのを待つ必要はありません
足底腱膜炎の人の腱膜は、エコーで見ると厚くなっていることが多く、4.0mmをこえる厚みが目安の一つとされています【6】。ただ、174人を平均約9年追いかけた研究では、痛みがなくなった人でも腱膜の厚みと見え方が正常に戻っていたのは24%だけでした【1】。つまり「厚みが正常になるまで走らない」と考えると、必要以上に長く休むことになります。当院では厚みの数字だけでなく、左右差の変化、周りの液体、押したときの痛み、上の基準をあわせて判断します。走る量を戻す順番
走り始めたら、次の順番で少しずつ戻していきます。1つの段階を2〜3回、痛みのルールを守ってこなせたら次へ進みます。足底腱膜炎の場合は、走った当日よりも翌朝の一歩目に負担の結果が出やすいので、走った翌朝の一歩目を確かめることを毎回の習慣にしてください。
- 早歩き 30分(平らな道・クッションのある靴)
- 歩き+ゆっくりジョグ(1分ジョグ・1分歩くを10回)を1日おきに
- ゆっくりジョグを続けて 10分→20分→30分
- 距離を伸ばす:1回に走る距離は、過去30日で最も長く走った距離の1割増しくらいまでにとどめる【5】
- 坂道・スピード練習・薄底の靴は最後に戻す
痛みのルール
走っている間や走った後の痛みが10段階で2〜3まで、翌朝の一歩目が前日より悪くなっていないなら、その段階を続けてかまいません。翌朝の一歩目が明らかに悪化したら、1つ前の段階に戻ります。かかとの骨を挟んで痛む、腫れてきた、という場合は走るのを止めてご相談ください。走る日と同じくらい大切な「足を強くする日」
足底腱膜炎の48人を対象にした比較試験では、インソールに加えて「足の指の下にタオルを丸めて入れた片脚のかかと上げ」を1日おきに行ったグループは、足裏のストレッチを毎日行ったグループよりも、3か月の時点で足の機能の点数が良くなっていました(12か月では差がなくなりました)【7】。早く走れる状態に戻りたいランナーには、走らない日にこうした筋力トレーニングを入れることをおすすめしています。やり方は当院で痛みの出ない重さから一緒に確かめます。
走れない間の体力づくり
判断基準がそろうまでの間も、自転車(エアロバイク)、プールでの水中ウォーキングや水泳、上半身と体幹のトレーニングで心肺機能を保てます。ふくらはぎの硬さは足裏の負担につながるため、ふくらはぎと足裏のストレッチも続けましょう。自宅でできるストレッチの方法は朝の一歩目がかかとに響く足底腱膜炎で紹介しています。
靴と路面の工夫
戻し始めの時期は、クッションのつぶれていない靴を選び、アスファルトよりも陸上トラックや公園の土の道など、着地がやわらかい路面を使うと痛みが出にくいことがあります。宜野湾海浜公園や北谷の海沿いの遊歩道など、平らで信号の少ないコースは段階的に距離を伸ばすのに向いています。本番用の薄底シューズは、ジョグを30分続けられるようになってから少しずつ試してください。
12月6日のNAHAマラソンに間に合う?
第40回記念NAHAマラソンは、2026年12月6日(日)9時に奥武山公園をスタートし、制限時間は6時間15分と案内されています【8】。この記事の公開日(11月4日)から本番までは約4週間半です。足底腱膜炎を抱えている方は、いまの状態によって考え方が変わります。
本番を目指せることが多い状態
- 判断基準の6つがそろっていて、ゆっくりのジョグなら30分以上続けられる
- 翌朝の一歩目が、週を追うごとに軽くなっている
この状態なら、ペースを落とし、給水所で歩く時間を入れるなど作戦を調整したうえで、本番を目指せることが多いです。ただし、ここから急にロング走で距離を取り戻そうとするのは避けましょう。最長距離の練習は本番の3〜4週前までに終え、残りの期間は量を減らして脚を回復させます。本番前の練習量の考え方はNAHAマラソンまでに足と膝を整えるで解説しています。
いったん立ち止まって相談したい状態
- 30分歩くだけで痛みが増える
- 翌朝の一歩目が、走るたびに悪くなっている
- かかとの骨を挟むと痛い、腫れている
この状態で42.195kmを走ると、レース後半で走れなくなるだけでなく、その後の数か月を痛みと付き合うことにもなりかねません。当院では、エコーで状態を確かめたうえで、「出場を見送ったほうがよい状態」なのか、「歩きを混ぜて完走を目指せる状態」なのかを一緒に整理します。
大会当日と大会後
当日は、スタート前に足首とふくらはぎをゆっくり動かし、足裏を冷やしすぎないようにします。テーピングで足裏のアーチを支えると楽に感じる方もいるので、試したい方は本番前の練習で一度使ってみてください。大会後の1〜2週間は痛みがぶり返しやすい時期です。翌朝の一歩目を確かめながら、ジョグから少しずつ再開しましょう。
早く戻るために当院でできること
- エコーで足底腱膜の状態を確認:キヤノン Aplio a Verifia で、腱膜の付け根の厚み、黒っぽく見える部分、周りの液体を左右で見比べます。かかとの骨の表面も確かめ、疲労骨折が疑われないかを見ます。エコーでの確認は初めて来院されたときの検査の流れで行うため、別料金はかかりません
- 拡散型体外衝撃波(SHOCKMASTER):長引く足底腱膜炎に、運動療法と組み合わせて活用しています。11件の研究をまとめた報告では、集束型・拡散型のいずれでも痛みの軽減が報告されています【9】。当院では1部位3,980円(エコー観察込み・自費)です。院長は日本超音波骨軟組織学会で、足底腱膜炎への拡散型圧力波とエコーでの変化について発表しています
- 運動療法:かかと上げの筋力トレーニング、ふくらはぎと足裏の柔軟性、足首の反り具合、片脚立ちでのバランスを段階的に整えます
- 足と走り方の見直し:3D足型計測(XPOD)で足のアーチや形を確かめ、シューズや中敷きの相談、着地の仕方の確認を行います
- 練習計画づくり:GPSウォッチやアプリの記録をもとに、本番日から逆算して走る量と強度を一緒に決めます
足底腱膜炎は、くり返しの負担による痛みのため、健康保険の対象になるかどうかは内容によって変わります。来院時にご説明します。体外衝撃波については沖縄・宜野湾で体外衝撃波を受けられる接骨院でもくわしく紹介しています。
当院は宜野湾市伊佐、国道58号の伊佐浜交差点のそばにあり、駐車場があります。受付は平日 10:00〜14:00/16:00〜21:00、土日祝 10:00〜13:00/14:00〜17:00(水曜午前は休み)です。北谷・浦添・中城・北中城・沖縄市からも通いやすく、仕事帰りの練習の後にも来院いただけます。
すぐに相談してほしいサイン
- かかとの骨を両側から挟むと痛い かかとが腫れている
- 走っている途中に足裏で「ブチッ」と感じ 急に痛みが強くなった 内出血が出てきた
- 足裏にしびれや焼けるような痛みがある
- 夜や安静にしているときもうずく
- 走る量を減らして1か月たっても 朝の一歩目の痛みが変わらない
- 大会が近く 走ってよいか判断に迷っている
当院ではエコーでその場で状態を確かめ、骨折が疑われる場合は負担を減らす処置をしたうえで、必要なら当院から連携する整形外科へその日のうちにおつなぎします。最初の窓口は当院で大丈夫です。ケガで困ったら、まず宜野湾スポーツ接骨院へご相談ください。
よくあるご質問
Q. 足底腱膜炎は完全に休まないと良くなりませんか?
Q. 何日くらいで走れるようになりますか?
Q. NAHAマラソンまで1か月ですが、出場できますか?
Q. エコーで足底腱膜が厚いと言われました。薄くなるまで走れませんか?
Q. 仕事のあとや土日でも見てもらえますか?
関連ページ
走っていいか迷ったら 走る前にご相談ください
宜野湾スポーツ接骨院(沖縄県宜野湾市伊佐)では、エコーで足底腱膜とかかとの骨の状態を確かめ、走り始める時期と練習の戻し方をご提案します。
受付時間:平日 10:00〜14:00/16:00〜21:00 土日祝 10:00〜13:00/14:00〜17:00(水曜午前は休み)
駐車場あり
参考文献
- Hansen L, et al. Long-Term Prognosis of Plantar Fasciitis: A 5- to 15-Year Follow-up Study of 174 Patients With Ultrasound Examination. Orthop J Sports Med. 2018;6(3):2325967118757983. PMID: 29536022
- Taunton JE, et al. A retrospective case-control analysis of 2002 running injuries. Br J Sports Med. 2002;36(2):95-101. PMID: 11916889
- Silbernagel KG, et al. Continued sports activity, using a pain-monitoring model, during rehabilitation in patients with Achilles tendinopathy: a randomized controlled study. Am J Sports Med. 2007;35(6):897-906. PMID: 17307888
- Riddle DL, et al. Risk factors for Plantar fasciitis: a matched case-control study. J Bone Joint Surg Am. 2003;85(5):872-877. PMID: 12728038
- Schuster Brandt Frandsen J, et al. How much running is too much? Identifying high-risk running sessions in a 5200-person cohort study. Br J Sports Med. 2025;59(17):1203-1210. PMID: 40623829
- McMillan AM, et al. Diagnostic imaging for chronic plantar heel pain: a systematic review and meta-analysis. J Foot Ankle Res. 2009;2:32. PMID: 19912628
- Rathleff MS, et al. High-load strength training improves outcome in patients with plantar fasciitis: A randomized controlled trial with 12-month follow-up. Scand J Med Sci Sports. 2015;25(3):e292-e300. PMID: 25145882
- NAHAマラソン協会. 第40回記念NAHAマラソン 大会概要(大会日時 2026年12月6日、スタート9:00 奥武山公園、制限時間6時間15分). https://naha-marathon.jp/info(2026年10月29日閲覧)
- Lippi L, et al. Efficacy and tolerability of extracorporeal shock wave therapy in patients with plantar fasciopathy: a systematic review with meta-analysis and meta-regression. Eur J Phys Rehabil Med. 2024;60(5):832-846. PMID: 39257331













