先に結論
XPOD(エックスポッド)は、レーザーで足全体を3次元的に読み取る足型スキャナーです。30か所の自動計測点から43項目を算出し、メーカー公表の計測精度は±1.0mmです【1】。足長・足幅・足囲だけでなく、アーチ高率や研究で広く使われるアーチ高指数(AHI)、母趾・小趾の角度、かかとの傾きなどを数値で記録できます。
宜野湾スポーツ接骨院では、立った状態(荷重位)と座った状態(非荷重位)の両方で計測し、アーチの「高さ」と「荷重でのつぶれやすさ(柔軟性)」を分けて評価しています。これに触診・関節可動域・必要に応じた超音波エコー所見を組み合わせて判断します。
Q. XPODの数値だけで痛みの原因が分かりますか?
A. いいえ。足の形は痛みに関わる要因の一つにすぎず、研究でも影響の大きさは小さいとされています【9】。計測値は身体の評価と組み合わせて柔道整復師が解釈します。
この記事の内容
XPODとは:仕様と計測のしくみ

XPODは、整形靴・インソール・バイオメカニクスの専門家向けに作られた業務用の3D足型スキャナーです。計測台の下を移動するレーザーとカメラで足の表面形状を読み取り、足裏だけでなく甲や側面を含む足全体を3次元の点群データとして記録します。取扱説明書では、使用者は専門的な訓練を受けた者に限られ、計測結果にもとづく判断は専門家が行うことが明記されています【1】。
| 項目 | メーカー公表仕様(XPOD-S)【1】 |
|---|---|
| 計測方式 | レーザー走査による3D表面計測(レーザークラス1) |
| 荷重条件 | 全荷重・部分荷重・非荷重の3通り |
| 算出項目 | 30か所の自動計測点から43項目 |
| 計測精度 | ±1.0mm |
| 計測範囲 | 長さ330×幅130×高さ115mm |
| 所要時間 | 足底像の作成まで数秒 |
| 認証 | CE(欧州)・FDA(米国)・PSE(日本) |

3Dスキャナーは足の「表面」を写し取る機械です。アーチの高さやかかとの傾きを正しく求めるには、皮膚の上から骨の位置を触って確かめる触診の技術が欠かせません。当院では内くるぶし・舟状骨粗面・第1中足骨頭などのランドマークを触診で確認し、必要に応じて皮膚に印を付けてから計測します。
計測項目の定義と臨床での読み方
XPODが出力する主な項目と、当院での読み方を一覧にしました。「目安」の欄に研究の裏付けがあるものは文献番号を付け、臨床経験にもとづく目安はそのように明記しています。
| 項目 | 計測内容 | 臨床での読み方・目安 |
|---|---|---|
| 足長 | かかとから最も長い指先までの長さ | 靴のサイズの基本。左右差も確認 |
| 足囲 | 母趾と小趾の付け根を通る周囲長 | 靴のワイズ(幅)選び。JIS規格のサイズ表記に対応 |
| 足幅 | 母趾球と小趾球の間の幅 | 広い場合は横アーチの低下(開張足)を疑う手がかり |
| かかと幅 | かかと内外側の幅 | 靴やインソールのかかとの適合 |
| 内踏まず長 外踏まず長 | 母趾球・小趾球の中心からかかと中心まで | 内側・外側の縦アーチの長さ |
| 足高 足背高 | 足底から甲の高い点までの高さ | 甲の高さの定量化。靴ひもやインソールの設計 |
| 第1趾側角度 | 母趾の外側への傾き | 外反母趾傾向の評価(15°以上を注意とする臨床上の目安) |
| 第5趾側角度 | 小趾の内側への傾き | 内反小趾傾向の評価(同上) |
| 踵骨角度 | 後ろから見たかかとの傾き | かかとが内側に倒れる(回内)・外側に倒れる(回外)傾向 |
| 内側縦アーチ高 アーチ高率 | 土踏まずの高さと、足長に対する割合 | 当院では15〜17%を標準の目安としています(臨床経験にもとづく目安で、年齢別の基準値は確立していません) |
| アーチ高指数(AHI) | 足長50%の位置での足背高 ÷ つま先を除いた足長 | 市民ランナー100人の平均は0.340±0.030【3】。当院では0.31〜0.36を標準の目安としています |
| 指高 | 母趾先端の床からの高さ | 指が浮いている傾向(浮き趾)の手がかり |
| インステップガース ヒールガース 足首周長 | 甲・かかと・足首まわりの周囲長 | 靴や装具の適合、むくみの確認 |

上の例では、左右の足長が同じ14.4cmでも、足囲(16.8cmと16.2cm)や靴のワイズ表記(4Eと3E)に左右差があります。母趾の角度は左8.7°・右5.3°で、注意の目安とする15°を下回っています。かかとの角度は左右とも10°前後でした。このように左右を比べることと、時間をおいて同じ条件で測り直すことで、数値の意味がはっきりします。
荷重位と非荷重位:アーチの「高さ」と「柔軟性」


土踏まず(内側縦アーチ)は、体重がかかると下がり、体重を抜くと元に戻る「ばね」のような構造です。そのため足の評価では、アーチの高さ(構造)と、体重がかかったときにどれだけ下がるか(柔軟性・機能)を分けて考えます。
| アーチ高指数(AHI) | アーチの柔軟性(AHF・アーチ剛性) | |
|---|---|---|
| 評価するもの | アーチの高さ(足の構造) | 荷重による変形量(足の機能) |
| 求め方 | 足長50%の位置の足背高 ÷ つま先を除いた足長【2】【3】 | 座位と立位でのアーチ高の差を、かかった体重の差で割る【10】 |
| 当院での計測 | 立位でXPOD計測 | 座位と立位の2条件でXPOD計測 |
| 主な使いみち | 高いアーチ・低いアーチの分類 | 柔らかいアーチ・硬いアーチの判定、インソールの支えの強さの検討 |
145人を調べた研究では、アーチの高さに男女差はない一方で女性のアーチは男性より柔らかく(剛性が低く)、アーチの高さと剛性の関係は弱いことが報告されています【10】。つまり「高さ」が同じでも「柔らかさ」は人によって違うため、両方を測る意味があります。
さらに2024年の研究では、ランニング中の足底腱膜の張力はアーチの高さ(AHI)とは有意な関係がなかった一方で、座位と立位のアーチ高の差(AHF)とは中程度の正の相関(r=0.568)を示しました【11】。足底腱膜炎のように腱膜への負担が問題になる痛みでは、立位だけでなく座位でも測ることが評価の精度を高めると考えています。くわしくは「足底腱膜炎」もご覧ください。
指標の信頼性と妥当性
計測値を臨床で使うには、同じ人を何度測っても同じ値が出ること(信頼性)と、測りたいものを正しく反映していること(妥当性)が必要です。
| 研究 | わかったこと |
|---|---|
| Williams & McClay 2000【2】 | 足長50%の位置の足背高をつま先を除いた足長で割る方法(AHI)は、検者間の一致度がICC 0.81〜0.85と比較的高く、レントゲンで測った骨の配列との一致度もICC 0.84〜0.85でした |
| Butler ら 2008【3】 | 専用器具によるAHIの計測は検者内・検者間とも高い信頼性を示し、市民ランナー100人の平均は0.340±0.030。男女で差はありませんでした |
| Jones ら 2025【4】 | 3Dスキャナーで測った足長・足幅・かかと幅などは、検者間ICC 0.99〜1.00、検者内ICC 0.97〜1.00と非常に高い再現性を示しました。一方で足のくびれ部分や足首周囲などは手計測との差がやや大きい(0.5〜1.1cm)項目もありました |
| Redmond ら 2006・2008【5】【6】 | 見た目と触診で足の姿勢を6項目で点数化するFoot Posture Index(FPI)が開発され、健常者619人のデータから「軽く回内した姿勢(+4点)」が安静立位の標準であることが示されました |
3Dスキャナーの値は再現性が高い一方、項目によっては手計測との差が出ることがあります【4】。また立って止まった状態(静的)の形は、歩いたり走ったりしているとき(動的)の足の動きを完全には表しません。当院では同じ荷重条件・同じ立ち方で測ること、FPIなどの観察評価や歩き方の確認と組み合わせることで、数値の解釈を誤らないようにしています。
足の形とケガ・子どもの扁平足:研究の現状
21の前向き研究(約6,200人)をまとめたメタアナリシスでは、回内足(土踏まずが下がり足が内側に倒れ込む形)がシンスプリント(脛骨内側の痛み)の危険因子であることに強い根拠がありました。ただし影響の大きさは小さく(効果量0.28〜0.33)、膝の前の痛みとの関係は根拠が限られていました。そのほかの足や膝の障害とは関係が認められていません【9】。足の形は「原因そのもの」ではなく、練習量・筋力・柔軟性・靴などと重なる要因の一つとして扱うべきだと考えています。
子どもについては3〜6歳の835人を3Dレーザースキャナーで調べた研究があり、柔らかい扁平足(flexible flat foot)の割合は44%で、年齢・性別・体重の影響を受けることが報告されています。同じ研究では、行われていた扁平足の治療の90%以上は不要だったと結論づけています【7】。柔らかい扁平足に対する保存的な介入の効果も、痛みがない子どもでははっきりしていません【8】。当院では、痛み・硬さ・強い左右差がない子どもの扁平足は経過を記録して見守ることを基本にしています。くわしくは「扁平足」「シーバー病」をご覧ください。

当院での評価の流れ
- 問診:痛む場所・経過・運動の内容と量・靴・立ち仕事の時間などをうかがいます。
- 身体の評価:圧痛の部位・足関節や足趾の可動域・片脚立ち・歩き方を確かめ、FPIなどの観察評価を行います。
- ランドマークの触診:舟状骨粗面などの骨の目印を確かめます。
- XPOD計測:立位(荷重位)と、必要に応じて座位(非荷重位)で計測します。
- 必要に応じて超音波エコー:足底腱膜の厚み、アキレス腱、骨の表面などをキヤノン Aplio a Verifia で観察します。
- 解釈とご説明:3D画像と数値を画面でお見せし、靴・インソール・運動療法を組み合わせてご提案します。

| こんな方に | 重点的に見る項目 |
|---|---|
| 朝の一歩目にかかとが痛い(足底腱膜炎) | 座位と立位のアーチ高の差・かかとの角度・左右差 |
| 走るとすねの内側が痛い(シンスプリント) | 荷重位のアーチ高・踵骨角度 |
| 子どもの扁平足・かかとの痛み | 足長・アーチ高率の経時的な記録 |
| ねんざをくり返す・足首が不安定 | 踵骨角度・足底の荷重の偏り |
| 外反母趾が気になる | 第1趾側角度・足幅・足囲 |
| マラソン前に靴を選びたい(NAHAマラソン対策) | 足長・足幅・足囲と靴のサイズ・ワイズ |
インソール処方と研究の位置づけ
当院では、XPODの計測結果をもとに医療用インソール「フォームソティックス メディカル」のご提案も行っています。院長はフォームソティックス導入院としてインタビューを受けた経験があり、評価からインソールの調整までを一貫して担当します。
一方で、インソールの効果には限界もあります。かかとの痛み(足底腱膜炎など)に対するインソールの19の無作為化比較試験(1,660人)をまとめたメタアナリシスでは、使い始めて7〜12週の時期に偽のインソールより痛みを減らす中等度の根拠がありました。しかしそれより短い期間・長い期間での効果ははっきりせず、オーダーメイドと既製品の間にも差は認められませんでした【12】。そのため当院では、インソールを運動療法・靴の見直しと組み合わせる手段の一つとして位置づけ、計測で必要性を確かめた方にご提案しています。
足の評価を担当する院長について

計測器は、使う人の解剖学の知識と触診の技術があって初めて正しい値を出せます。当院でXPODによる足の評価を担当する院長 今西博昭は、運動器の超音波エコーを19年にわたって臨床で使い続けてきた柔道整復師です。
- 日本超音波骨軟組織学会 評議員
- 日本柔道整復接骨医学会 認定柔道整復師/基礎運動器系超音波技師/柔道整復師専科教員免許
- 日本超音波骨軟組織学会 第21回学術総会(2021年)にて「足底腱膜炎に対しての拡散型圧力波治療における超音波エコーおよび身体所見の変化に関して」を筆頭発表
- 同 第23回学術総会(2023年)にて保存療法を行ったアキレス腱断裂のエコー観察経過を筆頭発表
- 日本足病学協会・ダイヤ工業・リハサクの3社合同実践セミナー(2026年7月)で、足関節不安定症の評価と介入について講師を担当
- 柔道整復師向けの運動器エコー教育・研究コミュニティ JET を主宰/名桜大学 非常勤講師/元 柔道整復師養成校 専任教員
- 大会救護・チーム帯同・ケガ予防講演など、2019年以降の院外活動は約250件
3Dでの足型計測・超音波エコーでの組織の観察・触診と動作の評価を、一人の専門家が統合して判断できることが当院の足の評価の特長です。地域のイベントでの計測のようすは「ぎのわんスポーツウェルネスフェスタ2026 出展報告」で紹介しています。
よくある質問
Q. XPODの計測は痛くありませんか?
A. 痛みはありません。裸足で計測台に立つ、または座って足を乗せるだけです。使われているのはレーザークラス1という肌や目に安全とされる区分のレーザーです【1】。
Q. なぜ立った状態と座った状態の両方で測るのですか?
A. アーチの高さ(構造)と、体重がかかったときのつぶれやすさ(柔軟性)は別の性質だからです。両方を比べると、柔らかい扁平足か硬い扁平足かといった違いが分かります【10】【11】。
Q. 計測にはどれくらい時間がかかりますか?
A. 読み取り自体は数秒です。ランドマークの確認と結果のご説明を含めて、余裕をもってお越しください。
Q. 子どもも計測できますか?
A. できます。成長期の足は変化が大きいため、定期的に記録しておくと靴選びや変化の確認に役立ちます。痛みのない子どもの扁平足の多くは成長とともに変わるため、急いで矯正する必要はありません【7】。
Q. 服装の注意はありますか?
A. 足と膝下までを出して計測します【1】。膝までまくれる服装でお越しください。
Q. 料金はいくらですか?
A. 評価の内容やインソールの有無によって異なります。お電話またはLINEでお問い合わせください。
参考文献
- scs shoe commerce GmbH. 3D-Laserscanner XPOD-S User Guide. V1, 2026.
- Williams DS, McClay IS. Measurements used to characterize the foot and the medial longitudinal arch: reliability and validity. Phys Ther. 2000;80(9):864-871.
- Butler RJ, Hillstrom H, Song J, et al. Arch height index measurement system: establishment of reliability and normative values. J Am Podiatr Med Assoc. 2008;98(2):102-106.
- Jones PJ, Rowlands AV, Davies MJ, et al. Foot Measurements From Three-Dimensional Scans: Elinvision 3DST Reliability. J Foot Ankle Res. 2025;18:e70070.
- Redmond AC, Crosbie J, Ouvrier RA. Development and validation of a novel rating system for scoring standing foot posture: the Foot Posture Index. Clin Biomech. 2006;21(1):89-98.
- Redmond AC, Crane YZ, Menz HB. Normative values for the Foot Posture Index. J Foot Ankle Res. 2008;1:6.
- Pfeiffer M, Kotz R, Ledl T, et al. Prevalence of flat foot in preschool-aged children. Pediatrics. 2006;118(2):634-639.
- Evans AM, Rome K. A Cochrane review of the evidence for non-surgical interventions for flexible pediatric flat feet. Eur J Phys Rehabil Med. 2011;47(1):69-89.
- Neal BS, Griffiths IB, Dowling GJ, et al. Foot posture as a risk factor for lower limb overuse injury: a systematic review and meta-analysis. J Foot Ankle Res. 2014;7:55.
- Zifchock RA, Davis I, Hillstrom H, Song J. The effect of gender, age, and lateral dominance on arch height and arch stiffness. Foot Ankle Int. 2006;27(5):367-372.
- Takabayashi T, Edama M, Inai T, Kubo M. Arch height flexibility is associated with plantar fascia tension during running. Gait Posture. 2024;108:270-274.
- Whittaker GA, Munteanu SE, Menz HB, et al. Foot orthoses for plantar heel pain: a systematic review and meta-analysis. Br J Sports Med. 2018;52(5):322-328.













