症状

手根管症候群について

夜中や朝の手のしびれ、手根管症候群かもしれません


「朝起きると指がしびれている」「夜中に手のしびれで目が覚める」――。それは手根管症候群かもしれません。
手根管症候群は、手首の中を通る神経が圧迫されて、親指から薬指にかけてしびれが出る病気です。軽いうちは手技療法や生活の工夫などの保存療法で改善が期待できる一方、親指の付け根の筋肉がやせてくるなど進行している場合は、整形外科での治療が必要になります【1】【2】。


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【手根管症候群とは?】
手首の手のひら側には、骨と靭帯に囲まれた「手根管」というトンネルがあり、指を曲げる腱と「正中神経」が通っています。このトンネルの中で正中神経が圧迫されることで、しびれや痛みが出るのが手根管症候群です【1】。

【こんな症状はありませんか?】
・親指、人差し指、中指、薬指の親指側半分のしびれや痛み
・夜間や明け方にしびれが強くなり、手を振ると楽になる
・ボタンを留める、小銭をつまむなどの細かい作業がしにくい
・物をよく落とす
・進行すると、親指の付け根のふくらみ(母指球)がやせてくる
【1】

【なりやすい人・原因】
多くは原因がはっきりしない「特発性」で、中高年の女性に多くみられます。手を強く握る作業、振動工具を使う作業、同じ動作の繰り返しはリスクを高めるとされています【3】。また、糖尿病や関節リウマチ、妊娠も発症と関係します【4】【5】【6】。
なお、パソコンのキーボードやマウスの作業が原因になるかどうかについては、はっきりした関連は示されていません【7】。

【放っておくとどうなる?】
自然に軽くなる方もいますが、しびれが続く場合や、手の力が落ちてくる場合は進行しているサインです。両手に症状がある場合なども長引きやすいとされています【8】。「そのうち治る」と様子を見続けず、早めにご相談ください。

【当院での施術】
①問診・検査とエコーによる観察
しびれの範囲や出る時間帯、仕事や家事での手の使い方をお聞きし、神経の症状を確認します。エコーでは正中神経の太さ(断面積)などを観察でき、評価の参考になります【9】。首の神経など他の原因が疑われる場合や、筋肉のやせがある場合は、整形外科での検査をご案内します。

②手技療法と神経・腱の滑走運動
手首や前腕まわりの手技療法と、神経や腱をスムーズに動かす運動をお伝えします。手技療法と自宅での滑走運動を組み合わせた治療は、手術と比べて4年後の成績に差がなかったという研究報告があります【10】。

③体外衝撃波治療
軽症〜中等症の手根管症候群では、体外衝撃波治療で症状や手の機能が改善したとする研究が報告されています【11】。当院でも手技療法や生活指導と組み合わせて活用しており、患者さんからも好評です。

④アキュスコープ(微弱電流治療)
痛みを和らげる目的で、微弱電流治療器「アキュスコープ80L」を組み合わせることがあります。手技療法と組み合わせて用い、患者さんからも好評です。

【日常生活の工夫】
・手首を強く曲げたまま長時間作業しない
・強く握る作業や振動工具の使用が続くときは、こまめに休憩をとる
・寝るときに手首が曲がらないようにする(夜間に手首をまっすぐ保つ装具は、無治療より改善を感じやすいという報告があります【13】)
作業環境の工夫による改善効果を確かめた研究はまだ不十分ですが【14】、症状を強める動作を減らすことは手首の負担を減らすことにつながります。

【整形外科での治療が必要な場合】
しびれが強い、筋肉のやせがある、保存療法で改善しない場合は、整形外科でステロイド注射や手術が検討されます【2】。当院では、必要と判断した場合は速やかに医療機関をご案内します。

【よくある質問】
Q. どのくらいで良くなりますか?
A. 経過には個人差があり、数週間で軽くなる方もいれば、数か月かかる方もいます。手の力が落ちている場合は、早めに医療機関での評価が必要です。

Q. 自宅でできることはありますか?
A. 症状が出る動作を減らすこと、寝るときに手首をまっすぐに保つこと、お伝えした滑走運動を続けることが基本です。

Q. 妊娠中に手がしびれます。
A. 妊娠中は手根管症候群が起こりやすく、出産後も症状が続く方がいます【6】。施術内容はお体の状態に合わせて選びますので、ご相談ください。

【関連するコラム・ページ】
整形外科・整骨院・接骨院で迷われている方へ
なぜ接骨院で超音波エコーが必要なのか?5分でわかるメリット

【迷ったときは、相談だけでもどうぞ】
「これくらいで受診してもいいのかな」「整形外科と接骨院のどちらに行けばいいのか分からない」という段階でも、遠慮なくご相談ください。
当院では、問診と身体の検査、必要に応じてエコー(超音波画像診断装置)での観察で状態を確かめ、接骨院で対応できる状態かどうかをはっきりお伝えします。レントゲンやMRIなどの検査、手術や注射の相談が必要と考えられる場合は、症状に合った医療機関・専門の医師をご紹介します。
相談だけのご来院でもかまいません。お電話・公式LINEでも受け付けています。

【関連する症状ページ】
腱鞘炎(手首・指の痛み)
ヘバーデン結節・ブシャール結節(指の関節の痛み)
テニス肘(肘の外側の痛み)
手首の痛み・TFCC損傷

【参考文献】
1) Padua L, et al. Carpal tunnel syndrome: clinical features, diagnosis, and management. Lancet Neurol. 2016;15(12):1273-1284.
2) Graham B, et al. The American Academy of Orthopaedic Surgeons Evidence-Based Clinical Practice Guideline on: Management of Carpal Tunnel Syndrome. J Bone Joint Surg Am. 2016;98(20):1750-1754.
3) Barcenilla A, et al. Carpal tunnel syndrome and its relationship to occupation: a meta-analysis. Rheumatology (Oxford). 2012;51(2):250-261.
4) Pourmemari MH, Shiri R. Diabetes as a risk factor for carpal tunnel syndrome: a systematic review and meta-analysis. Diabet Med. 2016;33(1):10-16.
5) Shiri R. Arthritis as a risk factor for carpal tunnel syndrome: a meta-analysis. Scand J Rheumatol. 2016;45(5):339-346.
6) Padua L, et al. Carpal tunnel syndrome in pregnancy: multiperspective follow-up of untreated cases. Neurology. 2002;59(10):1643-1646.
7) Thomsen JF, Gerr F, Atroshi I. Carpal tunnel syndrome and the use of computer mouse and keyboard: a systematic review. BMC Musculoskelet Disord. 2008;9:134.
8) Padua L, et al. Multiperspective follow-up of untreated carpal tunnel syndrome: a multicenter study. Neurology. 2001;56(11):1459-1466.
9) Cartwright MS, et al. Evidence-based guideline: neuromuscular ultrasound for the diagnosis of carpal tunnel syndrome. Muscle Nerve. 2012;46(2):287-293.
10) Fernández-de-Las-Peñas C, et al. Manual Therapy Versus Surgery for Carpal Tunnel Syndrome: 4-Year Follow-Up From a Randomized Controlled Trial. Phys Ther. 2020;100(11):1987-1996.
11) Zhang L, et al. Effects of Extracorporeal Shock Wave Therapy in Patients with Mild-to-Moderate Carpal Tunnel Syndrome: An Updated Systematic Review with Meta-Analysis. J Clin Med. 2023;12(23):7363.
12) Chen KT, et al. Extracorporeal Shock Wave Therapy Provides Limited Therapeutic Effects on Carpal Tunnel Syndrome: A Systematic Review and Meta-Analysis. Medicina (Kaunas). 2022;58(5):677.
13) Karjalainen TV, et al. Splinting for carpal tunnel syndrome. Cochrane Database Syst Rev. 2023;2(2):CD010003.
14) O'Connor D, et al. Ergonomic positioning or equipment for treating carpal tunnel syndrome. Cochrane Database Syst Rev. 2012;(1):CD009600.

症状

  1. 離断性骨軟骨炎(肘・膝の骨と軟骨の障害)

    成長期の肘や膝の骨軟骨障害

  2. 腓骨筋腱の痛み(外くるぶしの後ろ・足の外側の痛み)

    外くるぶし後ろの腱の痛み

  3. ド・ケルバン病(手首の親指側の痛み)

    手首の親指側が痛む腱鞘炎

  4. ばね指(指が引っかかる・伸ばすとカクンとなる)

    指が引っかかるばね指

  5. 肩鎖関節損傷(肩の上の出っ張り・鎖骨の外側のズレ)

    肩の上が出っ張る肩鎖関節のケガ

  6. 膝の内側側副靭帯損傷(MCL損傷)

    膝の内側の靭帯を痛めるMCL損傷

  7. むち打ち症(頚椎捻挫・外傷性頚部症候群)

    交通事故後の首の痛み・むち打ち症

  8. 交通事故後の腰の痛み(腰椎捻挫)

    交通事故後に続く腰の痛み・腰椎捻挫

  9. 交通事故後の頭痛・めまい

    交通事故後に続く頭痛・めまい・ふらつき

  10. 骨がつきにくいとき(骨癒合遅延・偽関節)

    骨折後に骨がつきにくい状態への対応

  11. ハムストリング付着部の痛み(坐骨・お尻の下の痛み)

    坐骨・お尻の下が痛むハムストリング付着部の痛み

  12. 大腿骨大転子部痛症候群(お尻の横・股関節の外側の痛み)

    お尻の横・股関節外側の痛み

  13. ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)

    肘の内側が痛むゴルフ肘

  14. 手首の痛み・TFCC損傷(手首の小指側の痛み)

    手首の痛み・TFCC損傷(手首の小指側の痛み)

    手首の小指側が痛むTFCC損傷

  15. 疲労骨折(すね・足の甲・腰など)

    くり返しの負担で骨に起こる骨折

  16. 首の痛み(頸部痛)

    首の痛み(頸部痛)

    続く・くり返す首の痛み(頸部痛)

  17. 肘内障(手を引っ張られた後に腕を動かさない)

    肘内障(手を引っ張られた後に腕を動かさない)

    手を引っ張られた後に起こる幼児の肘のケガ

  18. モートン病(モートン神経腫)

    モートン病(モートン神経腫)

    足の指の付け根のしびれ・焼けるような痛み

  19. 仙腸関節の痛み(腰の下・お尻の片側の痛み)

    仙腸関節の痛み(腰の下・お尻の片側の痛み)

    腰の下・お尻の片側が痛む方に

  20. 鵞足炎(膝の内側の痛み)

    鵞足炎(膝の内側の痛み)

    膝の内側・少し下が痛む鵞足炎

  21. 打撲・筋挫傷(チャーリーホース)

    ぶつけた筋肉のケガと正しい初期対応

  22. グロインペイン(鼠径部痛・股関節周りの痛み)

    グロインペイン(鼠径部痛・股関節周りの痛み)

    サッカー選手に多い脚の付け根の痛み

  23. ランナー膝(膝蓋大腿部痛・腸脛靭帯炎)

    ランナー膝(膝蓋大腿部痛・腸脛靭帯炎)

    走ると膝の前や外側が痛むランナー膝

  24. 変形性股関節症・股関節の痛み(中高年)

    中高年の股関節・足の付け根の痛みに

  25. 野球肩(投球障害肩)

    野球肩(投球障害肩)

    投げると肩が痛む野球・球技の選手に

  26. 有痛性外脛骨(足の内側の出っ張りの痛み)

    有痛性外脛骨(足の内側の出っ張りの痛み)

    足の内側の骨の出っ張りが痛む成長期の障害

  27. 外反母趾(足の親指の付け根の痛み)

    外反母趾(足の親指の付け根の痛み)

    親指の付け根の痛み・変形と対策

  28. 腱板損傷・腱板断裂(肩の腱のケガ)

    腱板損傷・腱板断裂(肩の腱のケガ)

    肩の腱(腱板)の痛み・損傷・断裂

  29. ヘバーデン結節・ブシャール結節(指の関節の変形と痛み)・更年期の手の痛み

    ヘバーデン結節・ブシャール結節(指の関節の変形と痛み)・更年期の手の痛み

    指の変形・こわばりと受診の目安

  30. 半月板損傷

    膝の引っかかりや腫れが続く方へ

  31. 突き指(指のケガ)

    突き指(指のケガ)

    突き指の種類と固定・受診の目安

  32. 膝蓋骨脱臼・MPFL損傷(お皿の脱臼)

    膝のお皿の脱臼と再発予防のリハビリ

  33. ジャンパー膝(膝蓋腱炎・膝蓋腱症)

    ジャンパー膝(膝蓋腱炎・膝蓋腱症)

    ジャンプ競技に多い膝のお皿の下の痛み

  34. 前十字靭帯(ACL)損傷と術後リハビリ

    前十字靭帯(ACL)損傷と術後リハビリ

    切り返し・着地でのひざの大けが

  35. アキレス腱の痛み(アキレス腱症・アキレス腱断裂)

    アキレス腱の痛み(アキレス腱症・アキレス腱断裂)

    ランナーや中高年に多いかかと上の痛み

  36. 石灰沈着性腱板炎(肩の石灰)

    肩の腱に石灰がたまって起こる肩の痛み

  37. 変形性膝関節症(中高年の膝の痛み)

    変形性膝関節症(中高年の膝の痛み)

    中高年の膝の痛み・こわばりが続く方へ

  38. 扁平足(子どもと大人の偏平足・足の痛み)

    扁平足(子どもと大人の偏平足・足の痛み)

    子どもと大人の扁平足、心配なサインと対策

  39. シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎・MTSS)

    シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎・MTSS)

    ランナーに多い、走ると痛むすねの内側の痛み

  40. シーバー病(踵骨骨端症)

    シーバー病(踵骨骨端症)

    成長期の子どもに多いかかとの痛み

  41. 腰椎分離症(成長期の腰痛)

    腰椎分離症(成長期の腰痛)

    成長期のスポーツ選手に多い腰の疲労骨折

  42. テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

    テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

    家事や仕事で肘の外側が痛むテニス肘

  43. 野球肘

    野球肘

    投げると肘が痛い成長期の野球選手に

  44. 腰痛(ぎっくり腰・慢性腰痛)

    腰痛(ぎっくり腰・慢性腰痛)

    ぎっくり腰から長引く慢性腰痛まで対応

  45. 寝違い

    寝違い

  46. 手根管症候群について

    手根管症候群について

  47. 腱鞘炎

    腱鞘炎

  48. 足底腱膜炎

    足底腱膜炎

    朝の一歩目にかかとが痛む方へ

  49. 四十肩・五十肩

    四十肩・五十肩

    肩が上がらない・夜に痛む方へ

  50. 坐骨神経痛

    坐骨神経痛

    長く続く坐骨神経痛もご相談ください

  51. スポーツ外傷/障害

    スポーツ外傷/障害

    スポーツ障害は早期発見・予防が重要です

  52. 肉離れ

    肉離れ

    肉離れは評価と段階的な復帰が重要

  53. 骨折

    骨折

    骨折は早期の発見と初期対応が重要です

  54. 脱臼

    脱臼

    脱臼は早期の整復・固定とリハビリが重要です

  55. ねんざ

    ねんざ

    足首をひねった直後から復帰・再発予防まで

  56. 成長期の痛み オスグッド

    成長期の痛み オスグッド

    成長期の膝下の痛みをエコーで評価

  57. 交通事故後の痛み・むち打ち

    交通事故後の痛み・むち打ち

    事故後の首・腰の痛みを評価し、分かりやすくご説明します

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