症状

ばね指(指が引っかかる・伸ばすとカクンとなる)

指がカクンと引っかかる、ばね指かもしれません


「朝、指が曲がったまま伸びない」「伸ばすと途中でカクンと引っかかる」「指の付け根を押すと痛い」――そんな症状が続いていませんか?

結論からお伝えすると、指の付け根で腱(けん)と、その通り道であるトンネル(腱鞘:けんしょう)の通りが悪くなった状態が「ばね指(屈筋腱の狭窄性腱鞘炎)」です。使いすぎだけでなく、糖尿病や更年期などの体の状態が関わることもあり、手のしびれをともなう別の病態が隠れていることもあります。まず引っかかりの出どころを確かめ、指の負担を減らす工夫と施術を組み合わせていくことが第一歩です。研究では、装具(固定)や注射といった手術をしない方法で約7割の方が改善したと報告されています【4】。


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【ばね指とは?】
指を曲げる腱は、骨に沿って走る何本かの輪(腱鞘)に通されて、弓の弦のように浮き上がらないよう押さえられています。そのうち、指の付け根にある一番手前の輪(A1腱鞘)が厚く硬くなり、腱の通りが悪くなると、指を伸ばすときに「カクン」と引っかかります。この引っかかり(トリガー現象)から、ばね指は英語で trigger finger と呼ばれます。

エコー(超音波画像診断装置)で比べた研究では、ばね指の方の腱とA1腱鞘は、健康な方よりも厚くなっていました【2】。つまり「腫れて厚くなったトンネルを腱が通りにくい」状態だとイメージすると分かりやすいです。

【こんな症状はありませんか?】
・指の付け根の手のひら側を押すと痛い
・指を伸ばすときにカクンと引っかかる、または自分では伸ばせず反対の手で伸ばしている
・朝いちばんがいちばん動かしにくく、日中はやや楽になる
・親指・中指・薬指に多い(大規模な調査でも、親指35%、中指34%、薬指26%の順でした【1】)
・力を入れて握ると痛い、物を落としやすい

【なぜ起こるの?】
・手の使いすぎ:強く握る作業、道具を握り続ける仕事、ラケットやバット、育児での抱っこなど。エコーの研究では、手を強く使う習慣がある方でばね指のリスクが高くなっていました【2】。
・糖尿病:一般の方の有病率は約2.0%ですが、糖尿病のある方では約5.8%と高いことが、46万人以上のデータで示されています【1】。別の研究でも、糖尿病のある方のリスクは高いと報告されています【2】。
・女性・中高年:ばね指の方の平均年齢は60歳前後で、女性に多くみられます【1】。更年期以降に手の痛みやこわばりが出やすいことについては、当院ブログの更年期から手が痛い・朝こわばる…それは「メノポーサルハンド」かもしれませんでも説明しています。

【放っておくとどうなる?】
軽い引っかかりのうちは、負担を減らす工夫で落ち着くことが多い状態です。一方、指が引っかかったまま自分では伸ばせない段階(重い段階)になると、手術で腱鞘を切り開く方へ進む割合が高くなります。3グレードに分けた研究では、軽い段階の約75%が手術をせずに改善したのに対し、重い段階では約60%で、手術に進む割合も高くなりました【4】。また、指を曲げたままの時間が長く続くと、指の関節そのものが伸びにくくなることもあります。早い段階で手を打つほど、選べる方法が多く残ります。

【こんな場合は医療機関へご案内します】
・指が完全に曲がったまま、反対の手でも伸ばせない
・手のひらから指にかけてしびれがある(ばね指のある方は手根管症候群を併せ持つ割合が高いと報告されています【1】)
・指の関節そのものが赤く腫れている、複数の指と手首が同時に腫れて熱っぽい(関節の病気の可能性)
・けがのあとに急に曲げ伸ばしができなくなった(腱の損傷の可能性)
・血糖値が高いと言われているが受診していない(糖尿病の管理とあわせた方がよい状態です)

これらに当てはまる場合は、整形外科(手の外科)や内科の受診をおすすめし、必要に応じてご紹介します。

【当院での施術】
・問診と手の検査:どの指のどこで引っかかるか、握力、他の指や手首の状態、しびれの有無を確かめます。
・エコーでの観察:指の付け根の腱と腱鞘の厚み、腱の動き(指を動かしながらの観察)を見ます。ばね指では腱とA1腱鞘が厚くなることが知られており【2】、左右を見比べながら状態を確認します。
・負担を減らす工夫:ばね指は「引っかかる動きを繰り返すほど通りが悪くなる」状態です。強く握る作業の持ち方や道具の見直し、テーピングなど、指の付け根に力が集中しない方法をご提案します。手術をしない治療の比較研究では、装具による固定は注射と同じくらい痛みと使いやすさを改善し、最初に選ぶ方法として推奨されています【3】。固定は一つの関節を6〜10週間ほど保つ方法が勧められています【5】。
・手技療法:指の腱・手のひら、前腕の筋肉のかたさをやわらげ、指と手首の動きを整えます。
・体外衝撃波(拡散型):当院では体外衝撃波を活用しています。ばね指は、国際的な体外衝撃波の学会(ISMST)が標準的な適応として挙げている病態です。狭窄性腱鞘炎に対する12件の研究をまとめた解析では、衝撃波を受けた群で痛みの改善が大きいことが示されました【6】。ステロイド注射と比べた2年間の追跡では、衝撃波を受けた方で痛みの改善が保たれ、手術に移行した割合も少なかったと報告されています【7】。自宅運動に衝撃波を加えた研究では、握力が運動のみの群より改善しました【8】。運動療法・手技と組み合わせて用いており、患者さんからも好評です。
・アキュスコープ80L・ラジオスティム:痛みが強い時期の状態に合わせて併用しています。
・ご希望や状態に応じて、手の使い方や全身の動きの評価(フィジカルチェック)や、自宅運動アプリ「リハサク」でのご案内も行っています。

【自宅でできること/予防】
・強く握る動作を続けない:30分に一度は手を開いて休ませる、太めのグリップや持ち手の工夫で握る力を分散させる。
・道具を見直す:包丁・ペン・ドライバー・ラケットなどの持ち手を太くすると、指の付け根にかかる力が減ります。
・朝のこわばりは温めてから動かす:入浴時や温めたタオルで手を温め、ゆっくり開閉します。痛みの出る動きを我慢して繰り返す必要はありません。
・引っかかる指を無理に何度も伸ばさない:引っかかりを確認したくて繰り返すと、かえって刺激になります。
・血糖・体調の管理:糖尿病のある方はばね指が起こりやすいことが分かっています【1】【2】。内科での管理が手の症状にも関わります。

【よくある質問】
Q. ばね指は自然に治りますか?
A. 軽い段階では、負担を減らす工夫や固定で改善する方が多く、手術をしない治療全体で約69%が改善したと報告されています【4】。ただし、引っかかったまま伸ばせない段階では手術が必要になる割合が高くなります【4】。

Q. 指の体操をすれば引っかかりは取れますか?
A. 注射を受けた方に指を滑らせる運動を追加した研究では、運動を加えた群と通常のケアの群で結果に差がありませんでした【10】。運動そのものは大切ですが、「動かせば取れる」というものではなく、負担を減らす工夫と組み合わせることが大切です。

Q. 注射や手術しかないと言われました。ほかに方法はありますか?
A. 手術をしない方法の比較では、装具による固定が最初の選択として推奨されています【3】。当院では、固定の工夫・手技療法・体外衝撃波を組み合わせて対応しています【6】【7】【8】。注射や手術は医師が行うものですので、必要な状態と判断した場合は医療機関をご紹介します。注射・手術の成績についても研究が積み重ねられています【9】。

Q. 接骨院でも保険は使えますか?
A. 指の使いすぎによる痛みは、原因や状態によって保険の取り扱いが変わります。来院時に状態を確かめたうえで、費用も含めてご説明します。

【迷ったときは、相談だけでもどうぞ】
「これくらいで受診してもいいのかな」「整形外科と接骨院のどちらに行けばいいのか分からない」という段階でも、遠慮なくご相談ください。
当院では、問診と身体の検査、必要に応じてエコー(超音波画像診断装置)での観察で状態を確かめ、接骨院で対応できる状態かどうかをはっきりお伝えします。レントゲンやMRIなどの検査、手術や注射の相談が必要と考えられる場合は、症状に合った医療機関・専門の医師をご紹介します。
相談だけのご来院でもかまいません。お電話・公式LINEでも受け付けています。

【関連する症状ページ】
腱鞘炎(手首・指の痛み)
手根管症候群(手のしびれ)
ド・ケルバン病(手首の親指側の痛み)
ヘバーデン結節・ブシャール結節(指の関節の痛み)
突き指(指のケガ)

ご予約・ご相談は、公式LINEまたはお電話(098-975-9074)で承っています。

【参考文献】
1) Sun C, et al. Epidemiology, Treatment Patterns, and Comorbidities of Trigger Finger: A Contemporary Population-Based Analysis. J Am Acad Orthop Surg. 2026;34(15):e2148-e2153.
2) Kamacı GK, et al. Comparison of Ultrasonographic Features Among Healthy Individuals and Patients With Trigger Finger. J Clin Ultrasound. 2026;54(2):354-359.
3) Atthakomol P, et al. Are There Differences in Pain Reduction and Functional Improvement Among Splint Alone, Steroid Alone, and Combination for the Treatment of Adults With Trigger Finger? Clin Orthop Relat Res. 2023;481(11):2281-2294.
4) Minkhorst K, et al. Does Orthosis Improve Outcomes of Conservative Treatment in Trigger Fingers? A 3-Arm Prospective Randomized Controlled Trial. Arch Phys Med Rehabil. 2025;106(12):1798-1806.
5) Lunsford D, et al. Conservative management of trigger finger: A systematic review. J Hand Ther. 2019;32(2):212-221.
6) Zhang L, et al. Extracorporeal shockwaves therapy for finger stenosing tenosynovitis: a systematic review and meta-analysis. Front Physiol. 2026;17:1714817.
7) Suárez Cabañas AH, et al. Beyond the first year: Long-term outcome of shockwave therapy versus corticosteroid infiltration in the management of trigger finger. J Hand Surg Eur Vol. 2026 Jul 23. (online ahead of print)
8) Çetin Duru E, et al. Comparative effectiveness of extracorporeal shock wave therapy and high-intensity laser therapy in trigger finger: a randomized controlled trial. Rheumatol Int. 2026;46(8):211.
9) Yang FA, et al. A systematic review and network meta-analysis of randomized controlled trials on the treatment of trigger finger. Sci Rep. 2026 Jul 8. (online ahead of print)
10) Choi YK, et al. Clinical effectiveness of Finger gliding Exercise for patients with trigger fingers receiving steroid injection: a Randomized Clinical Trial. Sci Rep. 2025;15(1):5141.

症状

  1. 離断性骨軟骨炎(肘・膝の骨と軟骨の障害)

    成長期の肘や膝の骨軟骨障害

  2. 腓骨筋腱の痛み(外くるぶしの後ろ・足の外側の痛み)

    外くるぶし後ろの腱の痛み

  3. ド・ケルバン病(手首の親指側の痛み)

    手首の親指側が痛む腱鞘炎

  4. ばね指(指が引っかかる・伸ばすとカクンとなる)

    指が引っかかるばね指

  5. 肩鎖関節損傷(肩の上の出っ張り・鎖骨の外側のズレ)

    肩の上が出っ張る肩鎖関節のケガ

  6. 膝の内側側副靭帯損傷(MCL損傷)

    膝の内側の靭帯を痛めるMCL損傷

  7. むち打ち症(頚椎捻挫・外傷性頚部症候群)

    交通事故後の首の痛み・むち打ち症

  8. 交通事故後の腰の痛み(腰椎捻挫)

    交通事故後に続く腰の痛み・腰椎捻挫

  9. 交通事故後の頭痛・めまい

    交通事故後に続く頭痛・めまい・ふらつき

  10. 骨がつきにくいとき(骨癒合遅延・偽関節)

    骨折後に骨がつきにくい状態への対応

  11. ハムストリング付着部の痛み(坐骨・お尻の下の痛み)

    坐骨・お尻の下が痛むハムストリング付着部の痛み

  12. 大腿骨大転子部痛症候群(お尻の横・股関節の外側の痛み)

    お尻の横・股関節外側の痛み

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  14. 手首の痛み・TFCC損傷(手首の小指側の痛み)

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  16. 首の痛み(頸部痛)

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  17. 肘内障(手を引っ張られた後に腕を動かさない)

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  37. 変形性膝関節症(中高年の膝の痛み)

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  38. 扁平足(子どもと大人の偏平足・足の痛み)

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  39. シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎・MTSS)

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    ランナーに多い、走ると痛むすねの内側の痛み

  40. シーバー病(踵骨骨端症)

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    成長期の子どもに多いかかとの痛み

  41. 腰椎分離症(成長期の腰痛)

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    成長期のスポーツ選手に多い腰の疲労骨折

  42. テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

    テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

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  43. 野球肘

    野球肘

    投げると肘が痛い成長期の野球選手に

  44. 腰痛(ぎっくり腰・慢性腰痛)

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    寝違い

  46. 手根管症候群について

    手根管症候群について

  47. 腱鞘炎

    腱鞘炎

  48. 足底腱膜炎

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    朝の一歩目にかかとが痛む方へ

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    肩が上がらない・夜に痛む方へ

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    長く続く坐骨神経痛もご相談ください

  51. スポーツ外傷/障害

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    スポーツ障害は早期発見・予防が重要です

  52. 肉離れ

    肉離れ

    肉離れは評価と段階的な復帰が重要

  53. 骨折

    骨折

    骨折は早期の発見と初期対応が重要です

  54. 脱臼

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    脱臼は早期の整復・固定とリハビリが重要です

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