症状
半月板損傷
膝の引っかかり・腫れ、半月板損傷かもしれません
「サッカーで膝をひねってから、曲げ伸ばしのたびに何かが引っかかる」「階段を下りると膝の内側が痛み、夕方になると腫れてくる」「MRIで半月板が切れていると言われて、手術が必要なのか不安」――。そんなお悩みはありませんか?
結論からお伝えすると、半月板損傷は「若い人のスポーツでのケガ」と「中高年のすり減りによる断裂」とで、考え方が大きく異なります。中高年の変性断裂では、まず運動療法を中心とした保存療法が基本とされ、関節鏡で半月板の一部を切り取る手術は、偽の手術や運動療法と比べて結果に差がなかったと報告されています【2】【4】。一方、若い人のケガによる断裂では、整形外科で縫合(修復)が検討されることがあります【7】。また、膝が途中で動かなくなる「本当のロッキング」は、早めに整形外科を受診すべきサインです。
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来院前に「どちらに行けばよいか」「この症状で診てもらえるのか」といったご質問も、電話・公式LINEで承っています。「これくらいで行ってもいいのかな」という段階でも、相談だけのご来院でかまいません。
【半月板損傷とは?】
半月板(はんげつばん)は、太ももの骨とすねの骨の間にある三日月形の軟骨のクッションで、膝の内側と外側に1枚ずつあり、体重を分散させ膝を安定させる役割があります。この半月板に亀裂が入ったり、欠けたりした状態が半月板損傷です。
半月板の外側のふちには血管がありますが、内側の部分にはほとんどなく、傷の場所によって治りやすさが異なるとされています。
【若い人のケガと、中高年の「すり減り」の違い】
①外傷性(がいしょうせい)断裂:若い人・スポーツ選手に多い
サッカー、バスケットボール、バレーボール、ハンドボールなどで、踏み込みや着地、切り返しの際に膝をひねって起こります。前十字靱帯(ぜんじゅうじじんたい)の損傷と同時に起こることもあります。
②変性(へんせい)断裂:中高年に多い
年齢とともに半月板がもろくなり、はっきりしたケガがなくても、しゃがむ・立ち上がるといった日常の動作の中で少しずつ傷んでいくものです。ヨーロッパの専門学会(ESSKA)の合意声明では、35歳以上で、大きなケガのきっかけがなく生じたものを「変性半月板損傷」と定義しています【6】。変形性膝関節症(膝の軟骨がすり減る病気)と一緒にみられることも多くあります。
【こんな症状はありませんか?】
・膝をひねったあと、数時間〜翌日にかけて膝が腫れてきた(膝に水がたまる)
・曲げ伸ばしのときに「引っかかる」「コリッと音がする」感じがある
・膝の内側や外側の関節のすき間あたりが痛む
・しゃがみ込みや正座、階段の下りがつらい
・ときどき膝が「カクッ」と抜けるような感じがする
【MRIで「半月板が切れている」と言われたら】
実は、MRIで見つかる半月板の傷は、痛みのない人にもよくみられます。アメリカで50〜90歳の地域住民991人の膝をMRIで調べた研究では、半月板の断裂や損傷は年齢とともに増え、50代女性で約19%、70〜90歳の男性では約56%にみられました。さらに、半月板に断裂があった人の61%は、直近1か月に膝の痛みやこわばりがなかったと報告されています【1】。
つまり、中高年の方の場合、「MRIに写った半月板の傷=今の痛みの原因」とは限りません。痛みの原因は、筋力の低下や膝の軟骨の状態など、ほかの要素も含めて考えることが大切です。
【こんな場合は早めに整形外科へ】
次のような場合は、接骨院ではなく、まず整形外科を受診してください。
・膝がある角度で動かなくなり、伸ばそうとしても伸びない(本当のロッキング)
・ケガの直後から、膝が短時間で大きく腫れた
・体重をかけられない、歩けない
・膝がぐらぐらする、何度も膝崩れを起こす
・膝が熱をもって赤く腫れている、発熱がある
「本当のロッキング」は、ちぎれた半月板が関節にはさまっている可能性があり、早めの対応が必要です。「ときどき引っかかる」程度の症状はこれとは区別して考え、中高年の変性断裂では、こうした症状も切除手術と偽の手術で改善の程度に差がなかったという研究があります【9】。
ケガの直後に大きく腫れた場合は、前十字靱帯損傷など、ほかのケガが隠れていることもあります。スポーツ外傷全般についてはスポーツ外傷/障害のページもご覧ください。
【治療の考え方:中高年の変性断裂】
かつては、関節鏡(内視鏡)で傷んだ半月板の一部を切り取る「部分切除術」が広く行われていましたが、その後の研究で考え方が大きく変わっています。
・フィンランドの研究(FIDELITY試験)では、変形性膝関節症のない35〜65歳の変性断裂の患者さん146人を、半月板部分切除術と、関節鏡を入れるだけの「偽の手術」に分けて比べたところ、12か月後の症状の改善に差はありませんでした【2】。5年後の追跡でも症状や膝の機能に差はなく、切除した群では膝の変形がわずかに進みやすい傾向がみられました【3】。
・ノルウェーの研究では、中年の変性断裂の患者さん140人を、12週間の運動療法と部分切除術に分けて比べ、2年後の膝の状態に意味のある差はありませんでした。運動療法の群では、3か月の時点で太ももの筋力がより改善していました【4】。
・複数の研究をまとめた解析では、関節鏡手術による痛みの改善はごくわずかで、1〜2年後には差がなくなり、血栓症などの合併症もあると報告されています【5】。
こうした結果から、ESSKAの合意声明では、変性半月板損傷に対して部分切除術を最初の治療として勧めるべきではなく、適切な評価を行い、保存療法で十分な改善が得られなかった場合に検討するものとしています【6】。
【治療の考え方:若い人・スポーツ選手の外傷性断裂】
若い人のケガによる断裂では、半月板をできるだけ残すことが重視されています。半月板を切り取ると、将来の変形性膝関節症のリスクが高まると考えられているためです。ESSKAの合意声明では、外傷性断裂では半月板の温存を第一に考え、縫合が必要な場合はできるだけ早く手術を行うことが勧められています【7】。
縫合術は、部分切除術より再手術の割合が高い一方で、長期的には膝の状態がよいという報告があります【8】。傷の場所や形、年齢、競技などによって治療方針は変わるため、手術をするかどうか、どの方法にするかは整形外科で医師とよく相談してください。
手術後のリハビリは、術式によって「いつから体重をかけてよいか」「どこまで曲げてよいか」が大きく異なります。必ず執刀した医師の方針に従って進めることが大切です。
【当院での施術】
①評価とエコーによる観察
ケガのきっかけ、痛む場所、腫れ、曲げ伸ばしの範囲、歩き方などから膝の状態を評価します。超音波画像診断装置(エコー)では、膝に水がたまっていないか、半月板の外側のふちが飛び出していないか、周囲の靱帯の様子などを観察します。
ただし、エコーで見えるのは半月板の外側のふち(周辺部)が中心で、骨の陰になる奥の部分は十分に観察できません。そのため、エコーだけで半月板損傷の有無や程度を判断することは難しく、必要に応じて整形外科をご案内し、MRIなどでの精密検査をおすすめします。エコーについてはブログ「超音波エコー検査って何?当院では超音波エコーを活用しています」でも紹介しています。
②運動療法・トレーニング
太ももの前(大腿四頭筋)や後ろ、お尻の筋力トレーニング、膝を内側に入れない動き方の練習などを、段階的に行います。フィジカルチェック(InBody、Sportip、footscanによる姿勢・動作・足圧の評価)で身体の使い方の癖を確認し、セミパーソナル/パーソナルトレーニングや自宅運動アプリ「リハサク」で、ご自宅でも続けられるようサポートします。
③手技療法・物理療法
膝まわりの筋肉のこわばりをほぐす手技療法を行います。痛みを和らげる目的で微弱電流治療器「アキュスコープ80L」も活用しており、運動療法と組み合わせることで患者さんからも好評です。
④手術後のリハビリ
整形外科で手術を受けた方のリハビリも、主治医の指示やリハビリの計画に沿ってお手伝いします。自己判断で負荷を上げることはせず、医師の方針を確認しながら競技復帰を目指します。
【自宅でできること】
・痛みが強い時期は、深くしゃがむ・正座・急な方向転換を控える
・痛みの出ない範囲で、膝を伸ばしたまま脚を持ち上げる運動(脚上げ)や、太ももに力を入れる運動を続ける
・スポーツへの復帰は、痛みや腫れ、筋力の回復をみながら段階的に
中高年の膝の痛みについては、ブログ「膝痛を軽減する為にやるべきこと(変形性膝関節症)①」もあわせてご覧ください。
【よくある質問】
Q. 半月板は自然に治りますか?
A. 外側のふち付近の傷は治る可能性がありますが、内側の傷は治りにくいとされています。ただし、傷が残っていても痛みなく過ごしている方は少なくありません【1】。
Q. MRIで断裂があると言われました。すぐ手術が必要ですか?
A. 中高年の変性断裂では、まず運動療法などの保存療法が勧められています【4】【6】。若い人のケガによる断裂では、縫合が検討されることがあります【7】。いずれも整形外科の医師とよく相談してください。
Q. 接骨院と整形外科、どちらに行けばよいですか?
A. 膝が動かない、大きく腫れた、体重をかけられないといった場合は、まず整形外科を受診してください。整形外科での検査後のリハビリや運動療法は、当院でもご相談いただけます。ブログ「膝の痛み接骨院(整骨院)?整形外科?」も参考にしてください。
【迷ったときは、相談だけでもどうぞ】
「これくらいで受診してもいいのかな」「整形外科と接骨院のどちらに行けばいいのか分からない」という段階でも、遠慮なくご相談ください。
当院では、問診と身体の検査、必要に応じてエコー(超音波画像診断装置)での観察で状態を確かめ、接骨院で対応できる状態かどうかをはっきりお伝えします。レントゲンやMRIなどの検査、手術や注射の相談が必要と考えられる場合は、症状に合った医療機関・専門の医師をご紹介します。
相談だけのご来院でもかまいません。お電話・公式LINEでも受け付けています。
【関連する症状ページ】
・前十字靭帯(ACL)損傷と術後リハビリ
・変形性膝関節症
・膝蓋骨脱臼(お皿の脱臼)
・ランナー膝(膝のお皿まわり・外側の痛み)
・鵞足炎(膝の内側の痛み)
ご予約・ご相談は、公式LINEまたはお電話(098-975-9074)で承っています。
【参考文献】
1) Englund M, et al. Incidental meniscal findings on knee MRI in middle-aged and elderly persons. N Engl J Med. 2008;359(11):1108-1115.
2) Sihvonen R, et al. Arthroscopic partial meniscectomy versus sham surgery for a degenerative meniscal tear. N Engl J Med. 2013;369(26):2515-2524.
3) Sihvonen R, et al. Arthroscopic partial meniscectomy for a degenerative meniscus tear: a 5 year follow-up of the placebo-surgery controlled FIDELITY (Finnish Degenerative Meniscus Lesion Study) trial. Br J Sports Med. 2020;54(22):1332-1339.
4) Kise NJ, et al. Exercise therapy versus arthroscopic partial meniscectomy for degenerative meniscal tear in middle aged patients: randomised controlled trial with two year follow-up. BMJ. 2016;354:i3740.
5) Thorlund JB, et al. Arthroscopic surgery for degenerative knee: systematic review and meta-analysis of benefits and harms. BMJ. 2015;350:h2747.
6) Beaufils P, et al. Surgical management of degenerative meniscus lesions: the 2016 ESSKA meniscus consensus. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2017;25(2):335-346.
7) Kopf S, et al. Management of traumatic meniscus tears: the 2019 ESSKA meniscus consensus. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2020;28(4):1177-1194.
8) Paxton ES, et al. Meniscal repair versus partial meniscectomy: a systematic review comparing reoperation rates and clinical outcomes. Arthroscopy. 2011;27(9):1275-1288.
9) Sihvonen R, et al. Mechanical symptoms and arthroscopic partial meniscectomy in patients with degenerative meniscus tear: a secondary analysis of a randomized trial. Ann Intern Med. 2016;164(7):449-455.
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